経営学ぶならダメな会社 カリスマ経営者の意外な提案星野リゾート 星野佳路代表

経営の本を読んだりしても、社員にやる気を出してもらうにはやはりこれは重要だなとか、逆にこれを言ったって社員はあまり反応しないだろうなとか、そのようなことが肌感覚でわかりますので、それはとてもよかったと思っています。分野にもよりますが、大学院へ行く前に仕事してみるのも大事だと思いますよ。それもだめな会社がおすすめです。

もし自分が入ったところがダメな会社だなあと思ったら、それはラッキーですよ。そこから学べるものは大きい。1番いいケーススタディーです。できない理由が何なのかを考え、そして顧客に対して本来何をやるべきことは何かを考える、というのは大きな学びです。うまくいっていない環境の現場にいるほどわかります。それは30~40代でそういう環境に行っても、見ることができない景色。現場の最前線で20代の前半にしかない特権だと私は思いますね。

リスクやリターンに振り回されてはいけない

――(平河)自分は17年間米国に住んでいたので余計にそう感じるのかもしれませんが、日本の旅館は風呂の時間が決まっていたりして面倒だなと思うことが多いです。「星のや東京」でも靴を脱がせるという特徴があると聞いたのですが、それって必ずしも共感を得られないんじゃないかと思っていて、そこはどうお考えですか。

「ビジョンに続く道はハイリスク・ローリターン」と語る星野氏

「星のや東京」は日本旅館とは何かを伝えるために運営しているので、靴を脱ぐということを日本旅館の象徴として認識しているのですね。だから顧客はあまりそこに不満がありません。だけど、それだけじゃだめなのです。靴を脱ぐことのメリットをちゃんと表現しないといけない。メリットは何かと言うと、日本的な素材を足の裏が感じることなのです。畳の素材感とか。我々は板の間も作っているんですけど、意図的に足の裏で日本的な素材を感じてもらえる工夫をホテルの至る所でしているんですね。

もう一つは、なぜか200人も泊まっているのに、玄関に自分たちの靴が用意されている。それは顧客にとって驚きなのです。そこもテクノロジーを使った私たちの演出です。靴を脱がせるのが日本文化なのだという押し付けはいいと思っていますが、それによる顧客にとってのメリットをちゃんと演出できれば何も問題ないと思います。

そもそも、自分たちが提供したい滞在サービスのイメージを作り、それに満足する人にいらしていただけるとうれしいという割り切りがあるのです。組織が変われないのは捨てられる顧客を捨てられない、とるべきリスクをとれないことが原因です。

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