■2000年から服や個性に対する価値観が下がった

――33年前といえばブランド品を身につけた「金ピカ先生」ら代ゼミの派手な講師が登場したころですね。

「当時は個性的な講師が人気でしたので、僕もいま以上に服装を考えていましたね。グッチの白スーツで授業をすることもありましたし、ヴェルサーチ、ドルチェ&ガッバーナといったイタリアブランドをよく着ていました。時計はフランク・ミュラーの『ベガス』でした。時計の文字盤にルーレットがデザインされているという、飛んだ発想が好きでね。いま、そんなバブル期の格好をしたら浮いちゃいます」

いましている時計はロレックスのデイデイト。昔はフランク・ミュラーを集めていた

――当時は華やかなファッションが称賛され、面白がられましたが、いまでは共感が得られないんですね。

「30年以上18歳の生徒を見続けてきました。彼らの変化がよく分かります。80年代はファッションは個性を投影するものでしたが、00年から服とか個性に対する価値観が下がり、みんなと同じじゃないとまずい、となった。生徒の服を見ると機能的で地味でみな一緒。浪人生は目立つ服を着てはいけない、という意識が働いているんですね。80年代の生徒は目立つ服を着て、先生に覚えてもらおう、何とかあててもらおう、というのが普通でした」

「若者はコミュニケーションが苦手だといわれています。ファッションというのはノンバーバル(非言語的な)コミュニケーションですが、自分が得意な服を着て認めてもらいたい、ということに極めて関心が薄い。だから僕も生徒に寄っていかないといけないのです」

バブル期にはイタリアブランドで固めたこともあった。いまはシャツやTシャツ、ジーンズが定番

■かつて講師は憧れの存在 だから背伸びして自己演出

――かっこいい服を着る、いい暮らしをする、ということは、憧れやモチベーションにはつながらないようです。

「まったくなりませんね。かつては僕ら講師のことを、生徒が憧れの対象や目標としてみていたことがありました。だから、僕らも背伸びして自己演出をしていたのかもしれません。いまの生徒たちは非常に現実的ですよ。人生100年時代をどう生きていくか、年金がもらえるのか、そこそこ幸せならいい、ということばかり考えています」

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