フラミンゴの赤ちゃん決死の孵化 24時間の奮闘
フラミンゴの繁殖と子育ては思いのほか難しい。カリブ海沿岸で広く見られるベニイロフラミンゴが繁殖するにはいくつかの条件をクリアする必要がある。群れが20羽前後に達していることや、オスとメスの比率が偏っていないといった条件だ。
そのため米国オハイオ州にあるコロンバス動物園では、飼育しているフラミンゴの群れの規模が大きくなるまで数年の間、繁殖に苦労した。
動画は、2018年6月19日の24時間をタイムラプス撮影したもの。卵からヒナがかえる様子を間近に見ることができる。生まれたのは5羽の中で最も小さい約85グラムのヒナだ。
コロンバス動物園の飼育員ケビン・コラー氏は、野生のベニイロフラミンゴが危機に陥ったときに備えて、繁殖可能な規模の群れを維持したいと話している。「大きなコロニーを築く鳥の場合は特に、病気によってコロニーが全滅してしまうこともあります。だからこそ、動物園で健康な群れを育てることが重要なのです」
コロンバス動物園では2018年に入ってから25個の卵が産み落とされたが、有精卵はわずか12個で、孵化(ふか)にこぎ着けたのは5羽のみだった。ただし、ヒナたちも安泰というわけではない。たとえ手をかけて育てても、さまざまな理由で、成鳥になる前に死んでしまうことがある。
「健康なヒナがたくさん生まれてくれたのは喜ばしいことですが、一瞬たりとも気を抜くことはできません」とコラー氏は話す。「小さな変化が起きる可能性は常にあります。何か悪いことが起きていても、鳥たちがその兆候を見せることはほとんどありません。多くの場合、気づいたときにはもう手遅れです」
5羽のヒナはいずれも、卵から出てくるまでに24時間以上かかった。孵化後の数週間は、日の出から日没まで、2時間ごとにエサを与えなければならない。
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2018年7月27日付記事を再構成]
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