週3回の「筋肉貯金」 下腹・お尻・太ももを引き締め

日経ヘルス

ずぼらでも筋肉は増える

「負荷が軽いと効かない」は過去の話。筋肉を増やすには、筋トレの頻度やタイミングもポイントになることがわかってきた。運動が苦手でも、効率よく筋肉貯金ができる。最新研究でわかった新常識から、筋肉貯金のコツを紹介する。

【ずぼら筋トレ 新常識01】週3回。途中休んでも筋肉は増やせる

超回復&「mTOR」の活性化で筋肉工場をうまく動かす

筋トレをすると、筋たんぱく質をつくるスイッチが押されることで、筋肉は増えていく。この筋たんぱく質をつくる「工場」の生産ラインにスイッチを入れ、稼働を上げるのが、「m(エム)TOR(トール)」と呼ばれる物質。mTORの活性は、ちょっとした筋肉の使い方で変わることがわかり、mTORが筋たんぱく質の合成を上げるのにちょうどいい筋トレの負荷のかけ方や頻度などが研究されてきた。

「筋トレは毎日よりも週2~3回がいい」というのは、次のトレーニングとの間隔をあけたほうが、筋たんぱく質をつくる作用が上がり、筋肉が増えるから。

「8時間では筋たんぱく質の合成は全く上がらず、72時間が一番上がっていた」(石井さん)。つまり、3日に1回を目安に筋トレをすると効率よく筋肉が増える。このとき、1回のトレーニングで行う回数やセット数を調整して筋肉が「疲労困ぱい」になるまで行うのが条件。そこまで追い込めない場合など「筋肉の回復が早い軽い負荷の筋トレでは、毎日行ってもかまわない」(石井さん)。

また、力を入れた状態でゆっくり動くスロートレーニングではmTORの活性が上がり、素早い動きでは下がる。がむしゃらにではなく、じっくりと優雅に行うのがよさそうだ。

筋トレを行う間隔を短くすると、筋トレ後の筋たんぱく質の合成が増えにくくなったという動物実験。3秒間の筋収縮を10回、7秒間のインターバルで繰り返し、トレーニング間隔を8時間、24時間、72時間の3群に分けて比較した(データ:Physiol Rep;5,22,e13515,2017)

【ずぼら筋トレ 新常識02】太ももとお尻。なまけている大きい筋肉を鍛える

筋肉は新しい刺激で増える。大きい筋肉のほうが伸びしろも大きい

筋肉は年齢とともに減っていくが、女性の場合、下肢の筋肉の減る割合が大きい。なかでも太ももの前側の大腿四頭筋が減りやすく、お尻の筋肉も同様に減りやすい。「筋トレをするならとりあえずスクワット」といわれるゆえんだ。

石井さんによると、「太ももや大きい筋肉のほうが、糖質、脂質などの代謝に及ぼす影響が大きい。ホルモン様物質の分泌量についても、大きい筋肉のほうが多いと考えられる」。

筋トレをするなら大きい筋肉、特に座りすぎでなまけた太ももとお尻から始めよう。もう十分太いから大丈夫と思った人も、脂肪たっぷりで太い場合はご用心!

■80歳で脚の筋肉は約3割減る



日本人4003人を対象にした、部位別の筋肉量の加齢による特徴の調査。男女とも下肢は加齢で顕著に減少。20歳と80歳を比較すると、女性は、全身の筋肉が11%減少し、特に下肢の減少率(14.4kg→10.3kg)が約3割と高い。(データ:日老医誌;47,52-57,2010)

【ずぼら筋トレ 新常識03】意識すると効果がアップ

拮抗筋が働いて負担が増す

「使っている筋肉を意識すると筋トレ効果が高まる」というが、これが“気のせい”ではないことを示す報告がある。筋トレマシンでゆっくり脚を伸ばすレッグエクステンションをする際、ももの前側の大腿四頭筋に意識を集中したところ、大腿四頭筋と、拮抗するももの裏側のハムストリングスの、両方の筋肉の活動が上がった。2つの拮抗する筋肉がせめぎ合いながら働くことで、筋トレの負荷が上がるのだ。

【ずぼら筋トレ 新常識04】階段を下りるほうが上るよりも筋肉を増やす

ブレーキをかけるような力の入れ方のほうが筋肉は1.2~1.4倍の力を発揮する

階段は、下りるときのほうが、筋肉が発揮する力は大きい。

筋肉は縮むときも伸びるときも収縮する。「筋肉が縮みながら収縮する運動に比べ、筋肉が伸びながら収縮する運動では、使われている筋細胞は、より大きな力を出している」(石井さん)。階段でいえば、ひざを伸ばしながら体重を支える下りのほうが、筋肉にかかる負荷が高く、筋肉も太くなりやすいという。

「せめて下りは階段を使って。やせたい人は有酸素運動になる上りも使いましょう」(石井さん)。


60代の肥満女性30人を対象にした研究で、階段を6階分上る群と下りる群に分け、週2回、12週間行ったところ、階段を下りる群のほうが上る群よりも脚の筋力がアップし、バランス力も高まっていた。(データ:Med Sci Sports Exerc.; 49,8,1614-1622,2017)

【ずぼら筋トレ 新常識05】筋肉を増やすには筋トレ前に有酸系。逆順なら脂肪が減る

筋トレ前に有酸素運動を行うと、筋肉合成が進む。脂肪を燃やすには、筋トレが先

筋トレの質を高めるには、有酸素運動を組み合わせて行うのがいい。だが、どちらを先にするかで、筋トレの効果が大きく変わってくる。「脂肪を落とすのが目的の場合は、筋トレ→有酸素運動の順番が効果的。筋たんぱく質合成の観点から有酸素運動→筋トレがよい。だが、筋トレの質が落ちてしまっては元も子もない。筋トレに自信がない人は、筋トレ→有酸素運動の順番で行い、筋トレの効果を上げたいときは、筋トレの後、3時間以上あけるのがよいだろう」(石井さん)。

筋トレと有酸素運動を続けて行う場合、有酸素運動を前に行うと、後に行うよりも、筋たんぱく質の合成の増加が約3倍になったという動物実験(データ:Am J Physiol Endocrinol Metab;306,E1155-1162,2014)
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