断酒ではなく減酒をサポート 新薬の気になる効果は?

日経Gooday

なるほど、わざわざお金をかけて酒を飲むのに、いつも以上に楽しい気分になったりしないのなら、酒を飲まなくてもいいと思うわけだ。なお、セリンクロの作用がなぜ飲酒量低減につながるかについては、まだよく分かっていないのだという。

では実際、セリンクロの減酒の効果はどうなのだろう?

アルコール依存症患者677人を対象に、プラセボ(偽薬)とセリンクロ10mg、セリンクロ20mgを服用してもらった検証の結果、セリンクロ10mg、セリンクロ20mgともに減酒の効果が確認できたという。その結果が下のグラフだ。

アルコール依存症患者666人を対照に、セリンクロ(ナルメフェン)を服用した人と偽薬(プラセボ)を服用した人で、多量飲酒日や総飲酒量の変化を検証した結果。(データ:大塚製薬)

「セリンクロを服用したグループでは、は、アルコール消費量で男性なら60g、女性なら40gを超えた日(多量飲酒日)が減少するとともに、飲酒量も減少することが確認されました」(樋口さん)

処方の対象となるのは「アルコール依存症」

これを聞いて、自分はアルコール依存症かも…と心配している人なら、「試してみたい!」と思った人もいるのではないだろうか?

しかし、残念ながら、現時点においてセリンクロは、身近にある病院などで手軽に処方してもらえるものではないのだという。

まず、このセリンクロの処方の対象となるのは「アルコール依存症」の人となる。アルコール依存症と診断されていない人は対象外、つまり、依存症にはなっていないが、飲み過ぎによるトラブルや健康への影響を懸念して減酒したいという人には処方できない。

厚生労働省のセリンクロの承認条件は「本剤の安全性及び有効性を十分に理解し、アルコール依存症治療を適切に実施することができる医師によってのみ本剤が処方されるよう、適切な措置を講じること」とある。

具体的には、「久里浜医療センターで年に2回行っている『アルコール依存症臨床医等研修』を受講した医師、またはそれに準ずる研修を受けた医師のみ処方できます。処方できる医師は限定されているのが現状です」(樋口さん)という。

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現時点では、身近な病院で処方してもらえるわけではない
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