■Vゾーンづくりがうまい習主席、「印象は60~70年代」

中国の習近平主席を、黒部氏は「以前に比べると格段にレベルが上がっており、相手に寄り添うVゾーンづくりがうまい」と高く評価する。中韓首脳会談で習氏はサックスブルーのネクタイを締めた。ブルーは国旗にも使われる韓国のナショナルカラーだ。

「習主席(右)は相手に寄り添うVゾーンづくりがうまい」=代表撮影

安倍首相のときは藤色っぽいタイだったという。「藤色は日本の伝統色で、令和に代替わりした今の時期によく似合う」と黒部氏。習氏に無地のタイが多いのは、千鳥格子など細かな柄はテレビや写真でハレーションを起こすことを考慮しているとみている。

ただ全体のファッション感覚については、柴田氏は、まだスーツを着こなせていないと指摘する。「日本で言えば1960~70年代の政治家のイメージだ」と柴田氏。小谷氏は「スーツの袖の丈を短く太さを細く調整すれば、習氏のシャープさが引き出されてスマートに見えるはず」とアドバイスする。

ロシアのプーチン大統領は、鍛え上げた筋肉質の身体が自慢だ。「服の世界のTPOや、雑誌で特集されるようなイロハ的なものを意識していない」と黒部氏。かつての国家保安委員会(KGB)出身でもあり、目立たないことが自然の慣習になっているのではないかと推測している。他方、本人自身の中身に自信があることも感じられ、サイズ感はトランプ氏、習氏と3人の中では一番あっているという。

先進国の首脳が無地のネクタイを多用している中で、プーチン氏はパープル系ドット柄のネクタイ。小谷氏はセンスの良さを感じるという。ただスーツは「ボタンを閉めると襟が空くシーンがよく見られる。筋肉質のために逆に体に合わせにくい」と惜しむ。

■ベストドレッサーはカナダのトルドー首相

スーツ・オブ・ザ・G20は誰か。小谷氏と柴田氏はカナダのトルドー首相を推薦した。トルドー氏は昨年のG7首脳会議(シャルルボワ・サミット)でもベストドレッサーの声が挙がった本命中の本命。柴田氏は「スーツやネクタイといった個々のパーツは無論、ルックスも含めた全体のバランスが素晴らしい」と褒める。小谷氏も「均整の取れた体形が着こなしの良さを引き立てている」としている。トルドー氏は禁欲的なダークネイビーやチャコールグレーのスーツに、遊びでストライプや赤いソックスを合わせているという。かつての宗主国・英国スタイルを受け継いでいるようだ。

「カナダのトルドー首相は、スーツやネクタイといった個々のパーツは無論、全体のバランスが素晴らしい」
「仏マクロン大統領は、他国の首脳よりラペルもネクタイも細め。シャープで若々しい印象を打ち出している」

対して黒部氏が推したのは仏マクロン大統領。天皇・皇后両陛下と会われた際のスタイルはネイビースーツに白シャツ、ネイビーネクタイだった。「フォーマルなスタイルとしてふさわしい」と黒部氏。マクロン氏は一般のフランス人らしさを意識してパリの小さな店のスーツを選んでいるという。「他国の首脳よりラペルもネクタイも細め。シャープで若々しい印象を打ち出している」と分析している。2位トルドー氏、3位はイタリアのコンテ首相という。

梶原氏は「良くも悪くも印象的だったのはトランプ氏」と独自路線を行く。少数意見であることを承知で、ぶれないトランプ流に1票を投じた。

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