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「神栖メンチ」 ピーマン王国・茨城の必殺パンチ? 探訪!ご当地ブランド(4)

2019/7/6

「庄花亭」の「ピーマン入り餃子」は「ポパイ」のホウレンソウのようなエネルギー源に

それにしても、神栖ピーマンのPR努力は侮れない。翌日、市の斉藤主幹に同行してもらったアトンパレスホテルでは、「パーティー用アラカルトとして、ピーマンの握りずし、巾着ずしなどの変わり種メニューを提供しています」(高野準子さん)。また、昼食に寄った「焼肉レストラン庄花亭」では、「ピーマン入り餃子定食」を作ってくれた。「神栖産 激うま!!」とメニューに掲げるだけあって、ギョーザに仕込まれた刻みピーマンの裏技のすごさに舌鼓を打った。

聞き込みを続けるうちに「わらしべ長者」のように次々と面白い人と出会えるのが、この仕事の醍醐味である。庄花亭から電話をすると、車で迎えに来てくれたのは、1747年から270年以上続く「恵日山長照寺」23代目住職の吉本栄昶さんだ。広島出身だが、「前の住職が夜逃げして18年前、急きょ派遣されたのが私。ボロボロの寺を任され、宅配便会社でアルバイトもやって円形脱毛症になりました」。

思わず噴き出した。僧侶とは思えない明るいキャラクターで、落語家(芸名・神栖亭南夢明)でもあり、名古屋のラジオにも出演する人気者だ。この住職こそ、神栖市産ピーマンを使った乾麺「うどっぴー」の開発者なのだ。商品は静岡県伊豆の国市の製麺所で天日干し、手作りで製造しているとか。

ほぼ市場に出回らない完熟赤ピーマンを使った乾麺「うどっぴー」を手にする吉本栄昶さん

住職と一緒に納品に行った居酒屋「わいわい和海(なごみ)」で夕方、「冷やしうどっぴー食べ比べセット」を食すと、これまた実にうまい。店主の川村鉄夫さん、和子さん夫妻は「あんな面白い人がいるから地元も活気が出る」と口をそろえる。住職の苦労の話題が、味に深みを添えるようだ。

「ここでは農家がピーマンをタダでくれるから、わざわざ買いません」「農家は赤ピーマンを捨てちゃうけど、実は完熟ピーマンの方が甘いんですよ。でも、結局、焼きピーマンが一番おいしいんじゃないかな」。ご夫妻と話し込むうちに帰りのバスの時間が近づいてきた。最後に焼きピーマンを注文し、ビールを飲みつつほお張ると、コショウが効いた新鮮なピーマンの甘苦さとシャキッとした食感が、よそでは味わえないピーマン王国・神栖の存在感を主張している。

「わいわい和海」の名物メニューでもある「うどっぴー」セット

今秋には「いきいき茨城ゆめ国体」がある。バスの車窓から工場の夜景を眺めながら、神栖名物の花火大会のように、色とりどりのピーマンメニューがはじける姿を想像するのだった。

(ジャーナリスト 嶋沢裕志)

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