バンドnever young beach 伝統の日本語ロック継承
1969年から72年にかけて活躍したはっぴいえんど、90年代デビューのサニーデイ・サービス、くるり、といった爽やかかつ軽快な日本語ロックを継承、幅広い世代の音楽ファンから注目を集める4人組バンド、never young beach。彼らが4thアルバム「STORY」をリリースした。
安部勇磨が14年に元メンバーの松島皓と共に宅録を始めたのが、今のバンド活動へとつながっていった。安部は「高校を卒業した頃に、はっぴいえんどや(そのメンバーで、後にYMOでも活躍した)細野晴臣さんの楽曲に衝撃を受けて宅録を始めた」と語る。高校時代にはザ・ストロークスなどの洋楽にもハマっていたというが「背伸びをせずありのままの等身大の姿を、古き良き日本語に乗せて歌うところがかっこよかった」と話す。
15年にインディーズ、17年にはメジャーデビューを果たし、18年に中野サンプラザやZepp Tokyoでもライブを開催。近年はサウンドの進化に向け、機材にもこだわりを見せる。ニューアルバムにも収録するシングル「うつらない/歩いてみたら」以降は、海外から取り寄せた70年代製のオープンリールテープで録音。今作では、敬愛する細野からアドバイスを受け、50年代にエルビス・プレスリーが愛用していたマイク「RCA」を使用する。「アナログにしか出せない、音のふくよかさがあるんです。若いファンの方には、過去の名機材に触れてもらうきっかけになれば」
表題曲の「STORY」は、跳ねるようなピアノとマリンバの音色と、彼ららしいポジティブな歌詞が印象的。「冒頭から軽快なピアノが鳴ることで、ワクワクする楽曲になりました。『よくあるような話だとつまらないだろう』という歌詞には、たとえそれが辛い思い出でも、自分しか経験できない自分だけの物語は、考え方次第で後々面白くなるという意味を込めています」
「Let's do fun」はドラの音から始まり、スティールパンが鳴る、アジアンテイスト香るスローテンポナンバー。冒頭は「あっちのほうは業火の地獄/こっちのほうは氷の地獄」と始まるが「しゃくしゃく余裕で運命のほうへ」と肩の力の抜けたフレーズが続く。
今後について「細野さんは20~30代で様々な音楽に挑戦したからこそ今があると思うので、僕らもそれに続いていきたい」と語る。今後も振り幅の大きいサウンドに挑戦する作品が続きそうだ。
(「日経エンタテインメント!」6月号の記事を再構成 文/中桐基善)
[日経MJ2019年6月21日付]
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