バンドnever young beach 伝統の日本語ロック継承

1969年から72年にかけて活躍したはっぴいえんど、90年代デビューのサニーデイ・サービス、くるり、といった爽やかかつ軽快な日本語ロックを継承、幅広い世代の音楽ファンから注目を集める4人組バンド、never young beach。彼らが4thアルバム「STORY」をリリースした。

never young beach (左から時計回りに)安部勇磨(ボーカル&ギター)、鈴木健人(ドラム)、阿南智史(ギター)、巽啓伍(ベース)。2014年9月にバンド体制となり、15年には「フジロックフェスティバル」に出場。17年に「A GOOD TIME」でメジャーデビューを果たした

安部勇磨が14年に元メンバーの松島皓と共に宅録を始めたのが、今のバンド活動へとつながっていった。安部は「高校を卒業した頃に、はっぴいえんどや(そのメンバーで、後にYMOでも活躍した)細野晴臣さんの楽曲に衝撃を受けて宅録を始めた」と語る。高校時代にはザ・ストロークスなどの洋楽にもハマっていたというが「背伸びをせずありのままの等身大の姿を、古き良き日本語に乗せて歌うところがかっこよかった」と話す。

15年にインディーズ、17年にはメジャーデビューを果たし、18年に中野サンプラザやZepp Tokyoでもライブを開催。近年はサウンドの進化に向け、機材にもこだわりを見せる。ニューアルバムにも収録するシングル「うつらない/歩いてみたら」以降は、海外から取り寄せた70年代製のオープンリールテープで録音。今作では、敬愛する細野からアドバイスを受け、50年代にエルビス・プレスリーが愛用していたマイク「RCA」を使用する。「アナログにしか出せない、音のふくよかさがあるんです。若いファンの方には、過去の名機材に触れてもらうきっかけになれば」

4thアルバム「STORY」 タイトルには、「人生という物語は、楽しいことも嫌なこともその起伏が激しければ激しいほど面白かったりする」という安部の人生訓を込めた。「春を待って」では、安部が早口で駆けていくような歌い方に挑戦するなど、各楽曲で随所にチャレンジが見られる全10曲。(ビクター/通常盤2800円・税別)発売中 

表題曲の「STORY」は、跳ねるようなピアノとマリンバの音色と、彼ららしいポジティブな歌詞が印象的。「冒頭から軽快なピアノが鳴ることで、ワクワクする楽曲になりました。『よくあるような話だとつまらないだろう』という歌詞には、たとえそれが辛い思い出でも、自分しか経験できない自分だけの物語は、考え方次第で後々面白くなるという意味を込めています」

「Let's do fun」はドラの音から始まり、スティールパンが鳴る、アジアンテイスト香るスローテンポナンバー。冒頭は「あっちのほうは業火の地獄/こっちのほうは氷の地獄」と始まるが「しゃくしゃく余裕で運命のほうへ」と肩の力の抜けたフレーズが続く。

今後について「細野さんは20~30代で様々な音楽に挑戦したからこそ今があると思うので、僕らもそれに続いていきたい」と語る。今後も振り幅の大きいサウンドに挑戦する作品が続きそうだ。

(「日経エンタテインメント!」6月号の記事を再構成 文/中桐基善)

[日経MJ2019年6月21日付]