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仕事はできるのに「困った社員」パターン別対策(下)

こちら「メンタル産業医」相談室(34)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

雨に濡れたあじさいの青が涼やかな季節、あなたの心と体はお元気でしょうか?こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。さて前回は、「仕事はすごくできて会社の利益には貢献している」にもかかわらず、人事や上司に「困った社員だ」と嘆かれてしまう残念な例を2つご紹介しました。

ケースその1は「部下をメンタル不調にするクラッシャー型上司」、ケースその2は「会社に対する批判を声高に繰り返す社員」。それぞれ産業医としての視点とともに解説を加えました。(詳しくは前回記事「仕事はできるのに『困った社員』 パターン別の対策」をご覧ください)。今回は後編としてさらに2つのケースを挙げたいと思います。

【ケース3】仕事を手放さず、自ら過重労働してしまう社員

月80時間超えの残業が発生すると産業医は過重労働者面談を要請されます。その中で人事担当者や上司から「この社員は、仕事はできるのですが、残業を減らそうと指導しても本人が勝手に残業してしまうので困っているんです。先生からも何とか助言してやってください」と頼まれることがあります。

詳しく聞くと、「ほぼ同じ仕事を任せている同僚は、長時間残業しないでこなしている」だとか、「仕事を軽減してもほとんど残業時間が変わらない」といった状況がしばしば人事や上司の口から語られます。そこで、産業医面談を行うわけですが、結論として彼らが長時間労働を続けてしまう原因は次のようなパターンに大別されます。

(1)「一つひとつの仕事を過度に丁寧に仕上げようとする」
例えば社内会議の資料用の表やレイアウトも、そこまで凝る必要はないのにと思うほどきれいに仕上げようとする。そのため1つの仕事を仕上げるのに時間が人一倍かかる、といった過剰なこだわりパターン。

(2)「クライアントの要求を全て受け入れてしまう」
契約外の仕事もNOといえずに何でもサービスで引き受けてしまう。もしくは、そこまで丁寧に対応しなくてもよいのに、と思えるほど事細やかに他部署の要望に対応する、といった過剰サービスパターン。

(3)「1回のチェックで十分なところを何度も何度もチェックする」
部下に仕事を任せられず、結局は自分で最終的に全てチェックして手直ししないと気がすまない、といった過剰な心配性かつ完璧主義パターン

当該社員本人と面談して、さりげなく水を向けてみても(1)の「過剰こだわりパターン」や(2)の「過剰サービスパターン」の場合は、ご本人は「そのやり方で普通」「ここまでやらない人の方がよくない」などと思っている場合が多々あります。

このような場合は上司から仕事のやり方を何度か指導して「やりすぎ」部分を自覚してもらう、さらにどうしても改善が難しいところは作業の一部を引き受けるアシスタントを付けるなどの措置がとられることが多いようです。しかしこれらの対策をしても長時間労働が改善しない場合は、結局のところ任せる仕事や責任を大幅に減らさざるを得なくなってしまいます。

(3)の「過剰な心配性・完璧主義パターン」の社員にもしばしば遭遇します。実は仕事ができる社員には、完壁主義でかつ心配性な性格の人が少なくありません。細かなところにまで目配りができて、ミスを先読みして予防する。休む時間を犠牲にして、何度も何度もチェックを繰り返し、あらゆるシチュエーションを想定して何パターンもの資料や報告書を準備する……。だからこそ彼らは仕事の成果を着実に上げられるわけなのですが、やはり毎月毎月長時間労働者のリストに上がってくるようになると、会社としては労働法に抵触するため非常に困るわけです。

またこうした「過剰な心配性・完壁主義パターン」の人が上司になった場合は、それを部下にも押し付けてしまう傾向があります。「○○さんが上司になってから、『そこまで想定して準備する必要ある?』と首をかしげたくなるほどの資料を多量に作らされたり、心配だからといって臨時で作業を何度も追加したり変更されたり。無駄な仕事や残業が増え、身が持ちません」などと体調不良を訴える社員に何度か出会いました。

こうした過剰な心配性・完壁主義パターンの社員の過重労働に対しては、何度か指導が繰り返されたのちに改善が見込めないとなると、任せる仕事の質や責任・量を下げる、部下を持たない部署に異動させるなどの措置をとるしかなくなってしまうようです。

これら3つのどのパターンであったとしても、長時間残業が連続した揚げ句、過労死やそれに準ずるような労災が発生してしまったら全て会社の責任になってしまいます。特にこれからは働き方改革によって「時間外労働の上限規制」が設けられ[注1]、定められた残業時間の上限を超えると罰則の対象となるため、過重労働が継続していることは会社としてはハイリスクにほかなりません。長時間残業をせざるを得ない過剰な業務量や無理のある納期設定などはもちろん会社側に大いに問題がありますが、上記3パターンのように個人の仕事のやり方や性格に大きく起因している場合は、ご本人の意識改革が大きく必要になってきます。

【ケース4】休日や夜中にメールを何通も部下に送り付ける社員

仕事はできるのに会社や人事を困らせる社員の4ケース目は、「休日や夜中といった勤務時間外にもかかわらず、しょっちゅう部下にメールを送り付ける上司」。これも非常に問題となる場合が多いです。なぜなら部下のメンタルや体調に悪い影響を及ぼすからです。

部下にとっては、夜や休日のリラックスしている時間に上司から仕事のメールを受け取ると、たとえ返事は急を要さないとしても、頭の中は仕事モードに切り替わり、休息を続けることができなくなってしまいます。そのメールを送ってきた上司の地位が高ければ高いほど、たとえ「急ぎではないから時間のあるときにやっておいて」という内容であっても、やはり部下には忖度(そんたく)する気持ちが働いて、休息を犠牲にして仕事をしてしまうものです。

そんな状況が続けば十分に休息時間やリラックスがとれなくなり、自律神経系の弱い人や育児や介護でプライベートに余裕のない人などは特に心身が不調になってしまいます。産業医面談でも、こうした状況が何度も続いた結果、「スマホが震えるたびに動悸(どうき)が止まらなくなってきた」とか、「家に帰っても緊張がとれずに眠れなくなった」「めまいや頭痛がひどくなった」などと訴える社員に何人も出会ったことがあります。

こうした行動をする上司側の原因は、次の2つに分かれるようです。

まずは、心配や懸念が浮かぶたびに部下に確認して安心したい心配性タイプの上司。これは前項のケース3のパターンともリンクしますが、とにかく心配性でかつ完壁主義のため、ふと心配や懸念が浮かぶとすぐにそれを払しょくすべく状況を確かめたい、対策をとりたい、と勤務時間外であっても、部下に連絡してしまうのです。

もう一つのタイプは、「忘れたらいけないから、覚えているうちに」と備忘録代わりにいつ何時でもメールを無神経に送るパターン。どちらのタイプであったとしても、「勤務時間外に不用意に仕事のメールや電話をするのは、部下のメンタルヘルスに非常に悪い」ということを人事や上司からしっかりと説明して理解してもらい、不要不急の連絡以外は勤務時間外には行わないように指導していく必要があります。

以上、2回にわたって「仕事はできるのに、会社から困った社員と認識されてしまう人のパターン別対策」を産業医の立場からご紹介しました。せっかく頑張って成果を上げても、「困った社員」になって評価を相殺されないためにも、本稿がご参考になれば幸いです。

[注1]大企業の場合は2019年4月、中小企業の場合は2020年4月から。

奥田弘美
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内20カ所の産業医として働く人を心と身体の両面からサポートしている。著書には『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想(めいそう)の普及も行っている。

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