午後2時でも退社OK 働き方改革「元祖」の徹底ぶりカルビー元会長 松本晃氏

この矛盾を解消するために採用したのが、定年制度でした。終身雇用と言いながら実際には終身でないのは、そもそもおかしいと思いませんか。そうなったのはこの定年制度のせいです。60歳になったらみんな一斉に会社を辞めてもらう。今はみなさん60歳でも若いですが、平均寿命が70歳そこそこの時代には、かなり「お年寄り」でした。だから、そこで線を引いたわけです。

当たり前ができない日本の会社

高度経済成長期に固まった働き方の仕組みが行き詰まっている

会社が「パフォーマンスが落ちてきた人にたくさんの給料を払うわけにはいかん。そろそろ辞めてほしい」と言うのが定年制度で、それについてくるのが退職金制度です。これには給料の長期後払いという意味もあるんですが、なかなか辞めると言わない社員に「手切れ金」を払うようなものでもあるんです。

年金制度も、定年制度がうまく機能するように整備されました。働きながらコツコツ貯金し、会社を辞めたら退職金と年金をもらう。これで働く人たちやその家族はお金に不自由することなく余生を過ごすことができるようになったんです。ところが、平均寿命が80歳を超えるようになって、この一連の仕組みが立ち行かなくなった。それが現状です。

仕組みが破綻しているのに、いまだに終身雇用とか年功序列を続けようとしている企業がたくさんある。最近、経団連が大学新卒の一括採用を見直すというニュースがありましたが、僕は前から一括採用なんてくだらないことはやめた方がいいと言ってました。

なぜ4月1日に一斉に入社する必要があるのか。しかも、入ったら、だれもかれもみんな同じ給料。そんなおかしなことはありません。この人はできそうだから40万円出そうとか、この人は30万円からスタートとか、差があって当然です。働き始めて、成果が出せなかったら下げる、成果が出たら上げる。それが当たり前ですよ。その当たり前のことができていないのがこの国なんです。

<<(4)「すべては数字の成果主義 『評価に情』でみんな不幸に」
(6)女性管理職の比率4倍に 活躍の道、トップが力ずくで >>

松本晃
1947年京都府生まれ。京都大学大学院修了後、伊藤忠商事入社。93年にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)日本法人に転じて社長などを歴任した。2009年にカルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。停滞感のあった同社を成長企業に変え、経営手腕が注目されるようになった。11年には東証1部上場を果たし、同社を名実ともに同族経営会社から脱皮させた。18年に新興企業のRIZAPグループに転じ、1年間構造改革を進めたのも話題に。

(ライター 猪瀬聖)

マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら