怠けていると思わないで 職場が誤解しがちな女性の病産業医・精神科専門医 植田尚樹氏

生理前、3日~10日に情緒不安定、イライラ、落ち込み、不安などの精神症状、あるいは、腹痛、頭痛、腰痛、むくみといった身体症状を認め、生理開始とともに軽快する「月経前症候群(PMS)」「月経前不快気分障害(PMDD)」など、婦人科系のホルモンに関わる病気はうつ病などのメンタル不調と間違われやすいので注意が必要です。お腹が痛い、体がだるい、頭が痛い、気持ちが落ち込むといった症状から、勤怠不良に陥る例も少なくありません。

まずは生理周期と体調不良の関係を確認

婦人科を受診すればいいのですが、メンタル不調があることから、精神科や心療内科にかかる人もいます。ホルモンの変化に起因するメンタル不調であると診断が下されなければ、良くなることは難しいでしょう。生理の周期と体調不良が関係しているかどうかを確認する必要があります。

また、不正出血や、生理が重くなると、「鉄欠乏性貧血」になることもあります。貧血の症状というと目まいや立ちくらみを思い浮かべるかもしれませんが、そうした症状が目立たずに慢性的に頭痛や、日中の眠気が出るという場合もあります。そのために業務のパフォーマンスが下がってしまうこともあります。

こうした女性の体に特有の事情を上司が理解していないと、「怠けている」と受け止められかねません。とはいえ、女性ならまだしも男性の上司には、なかなか相談しにくいでしょう。こうした場合、産業医を介して人事部や総務部、上司に言ってもらうのもいいでしょう。上司はその人の状態を理解し、業務の負荷を減らすなどの配慮を検討してもよいかもしれません。

「忙しい」と症状放置で状況悪化

私が産業医として面談した出版関係の入社2年目の24歳女性の事例です。勤怠不良ということで人事部から面談を求められました。会って話を聞いてみると、「理由もなく泣きたくなる」「落ち込む」「集中できない」「朝起きられない」ということでした。

「50日間ほど生理が来ないので、仕事のストレスのためではないかと」とも話していました。婦人科を受診しているか聞くと、すでに診てもらっていて、排卵がうまくできない「多のう胞性卵巣症候群」だというのです。

前から生理不順だったのでしょう。仕事が忙しく、通院する時間がとれない、体調不良で起きられなかったなどの理由で、そのまま放置していたようです。人事部は彼女が病気であることを知らなかったそうです。

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