花王のアタック新CM 洗濯好き男子5人登場で最高位
2019年4月度 CM好感度月間ランキング
CM総合研究所が発表する4月度の銘柄別CM好感度ランキングで、花王の衣料用濃縮液体洗剤の新商品「アタックZERO(ゼロ)」が2位に入った。松坂桃李、菅田将暉、賀来賢人、間宮祥太朗、杉野遥亮の5人が、洗濯好きな社会人サークル「#洗濯愛してる会」のメンバーを演じている。豪華なキャストや新商品が注目されて、女性層から圧倒的な支持を獲得。花王のCMとして最高順位を記録した。
4月1日から始まった「ゼロ洗浄、はじまる」編では、カフェに集合した5人がそれぞれ新商品を手に「汚れゼロへ」「ニオイゼロへ」「洗剤残りもゼロへ」と特徴を言ったり、ラインアップに加わったワンハンドプッシュタイプやドラム式専用の商品をアピールしたりする。ほかにも「ワンハンドプッシュ 初めて」編など4編が4月度にオンエアされた。
いずれも女性層から圧倒的な支持を獲得。好感要因は「出演者・キャラクター」がトップで「商品にひかれた」「ユーモラス」と続く。調査モニターのコメントには、「キャストが豪華すぎる!!」「今話題の5人がそろってすごいCM」「とうとう男の子も洗剤に興味を持ち始めたのでしょうか」と豪華キャストにひかれたという声が目立った。
CM総合研究所の関根心太郎代表は、人気のイケメン男優5人をそろえたインパクトを称賛。「洗剤のCMに男性タレントが出ること自体は今では珍しくないですが、旬の若手男優を5人もそろえたのは初めてではないでしょうか。キャラクターの設定もファンが納得するように作り込んでおり、そこもユーザーの心をとらえました。30年以上続くアタックのブランドが一新したことはしっかり伝わり、効果は満点でした」
クリエイティブディレクターの篠原誠氏は、CMの狙いをこう語る。「洗濯初心者である若年層からシニア層まで幅広い世代へのアプローチを考え、旬な俳優たちから興味をひき、"アタックが新しくなるということを伝える"ことをめざしました。ありがちな洗濯物を干すシーンではなく、人気の若手俳優による会話劇で、登場感と商品の魅力を伝えます。洗剤史上かつてない革命的な商品を、洗剤史上かつてない表現で伝えることを狙いました」
メンバーが5人になった理由はこうだ。「『#洗濯愛してる会』という、洗濯が大好きな人たちの集まりという設定のため、会というからには5人ぐらいはいた方がいいと思いました。また、アタックZEROの5つの優位点を解説するときに、汚れを気にする人、ニオイを気にする人、洗剤残りを気にする人、ワンハンドプッシュが好きな人、ドラム式の洗剤を求める人と、それぞれに興味がある人ということで5人になっています」(篠原氏)
銘柄別CM好感度2位は、花王として最高順位。「ゼロ洗浄、はじまる」編は作品別CM好感度の総合1位で、こちらも初めて。商品への販促効果も大きかった。花王ファブリックケア事業部ブランドマネジャーの野村由紀氏によると、「CM接触により、アタックZEROの興味喚起ができたおかげで、店頭の立ち寄り率も高くなりました。タレントビジュアルが目印となって、『あ、あのCMの!』と商品を手にとってくださる方が多いです。アタックZEROの発売まで販売していた、アタックNeoシリーズと比べて、4月度の売り上げは約2倍になりました」と言う。
洗濯は負担でなく楽しいもの
実際、CM総研によると、購買意向が非常に高いのが今回のCMの大きな特徴。CMが好きと答えた人のうち84%が「商品を試してみたい」、6%が「既に買った」と答えている。モニターのコメントからも「ワンハンドプッシュは便利そうで使ってみたい」といった、商品に対しての興味が高いことがわかる。
CM総研の関根代表は、若い男子がワイワイ言いながら洗濯を楽しんでいる描き方が見る人の心をつかんだと指摘する。「男性が料理や掃除をするCMも増えましたが、家事を分担するという描かれ方が多かったように思います。今回は、若い男子たちが早く洗濯をしたくてしようがないという、いわば洗濯を娯楽として描いている。その超ポジティブな表現が画期的で、商品を使ってみたいという購買意欲をかきたてたのではないでしょうか」
洗濯をはじめ家事は負担ととらえられがちだが、逆に「楽しい」という価値観を打ち出し、旬の「若手男優」に演じさせたのが今回のCMで斬新な点。消費者を驚きと興味を与え、高いCM好感度につながったようだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当月オンエアCM:全2763銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある
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