突然の雨でも快適 梅雨のサイクリング対策グッズ
間もなく日本列島の大半が梅雨入りをする。この時期、自転車に乗るには雨対策が欠かせないがじつに難しい。最新の雨対策グッズをピックアップして紹介しよう。
自転車の場合、傘を差すことはできないのでレインウエアを着用することになる。2~3キロの距離を一般車(いわゆるママチャリ)でのんびり走る分にはコンビニで入手できるようなレインコートでもあまり問題はないが、スポーツサイクルである程度以上の距離を走るとなると相応の備えが必要だ。
身体を動かしながら高速で移動する自転車では、風でバタつかず、動きやすいことはもとより、防水性(耐水圧性)と透湿性を高次元で両立するレインウエアが必要となる。水の侵入を完全にシャットアウトしても透湿性が低くければ自らの汗がこもって身体が濡れてしまうからだ。もっとも、いくら高性能なレインウエアであっても限界はある。雨の日に長距離や登り坂を走るときはあまり発汗しないようペースを抑えて走るのがひとつのセオリーである。
また、前回の記事でも書いたが、スポーツサイクルの多くは泥よけ(フェンダー)が標準装備されていない。雨が降るとタイヤが水と泥を巻き上げてライダーを直撃する。速度を上げると前輪が巻き上げた水が容赦なく顔にも飛んで来るので汎用の泥よけを装着するなど対策が必要だ。
軽量性と透湿性を備えたウエア
高性能レインウエアといえば、防水性と透湿性を兼ね備えたゴアテックス素材を使ったものが多い。このサイクルドライシェルはそのゴアテックスの中でも抜群の軽量性と透湿性を備えた「ゴアテックス シェイクドライ」という素材を採用している。
一般的なゴアテックス素材はメンブレン(防水透湿性素材)をナイロンなどの生地でラミネートした3層構造となっているが、シェイクドライは特殊なメンブレンが表生地を兼ねる2層構造。表生地が水分を含んで重くなることがない。また、常に高い透湿性を確保する。
半面、表生地は摩擦に弱く、バックパック等を背負っての使用は不可と、扱いはややデリケートだ。夜間走行での視認性を高める反射テープを背面に装備するほか、乗車姿勢で突っ張ることがないよう、肘の部分に立体裁断を施している。重量は171グラムとかなり軽量。
脚の動きを妨げないしなやかなレインパンツ
自転車の雨対策として、とくに要件が厳しいのがレインパンツ。防水透湿性に加えて、脚の動きを妨げないしなやかさやサドルとの摩擦に耐える強度も求められる。コンバーチブルレインパンツは膝から下の部分が簡単に着脱できる画期的なレインパンツ。
ドライな着心地を保つ独自の裏地を採用するが、梅雨時期など、とくに気温や湿度が高いときはハーフパンツにすることでさらなる快適性を実現する。252グラムと軽量でコンパクトに収納できる携行用バッグも付属する。
夏場でも快適に使用できるポンチョ
ロードバイクで高速巡行するのでなければ、ポンチョという選択肢もある。風でバタつきやすいのが難点だが、下側が開放されているため蒸れにくく、着脱もしやすいという利点がある。レインスーツを着て濡れてしまうと、脱ぐのが億劫(おっくう)で飲食店に入る気もうせるが、こちらはその心配はない。
またバックパックなどの上から着用できるので荷物も濡れない。旅をテーマにしたサイクルウエアブランド、リンプロジェクトのポンチョは車輪やチェーンなどに巻き込まれないよう丈を短めに設計。さらに背中部分には通気性を高めるベンチレーションも装備されており、夏場でも快適に使用できる。
泥よけの概念を覆す新発想の商品
雨天のライドでは必須アイテムの泥よけだが、ロードバイクのような完成された自転車に汎用品を付けるとどうにもカッコ悪い。できれば付けたくないというのが本音である。ところがこのディフェンダーiグロウは泥よけに夜間の視認性を高めるLEDライトを内蔵し、テールライトとしての機能も受け持つ。雨を防ぐためにやむなく装着するという従来の泥よけの概念を覆す新発想の商品だ。
自転車乗りの防水バッグ
自転車における防水バッグの代名詞といえばオルトリーブ。このデイパックアーバンはコーデュラコットンファブリックを採用し、通勤やカジュアルなシーンでも使いやすいデザインのモデル。もちろんメインコンパートメントは止水ジッパーで開閉を行う完全防水仕様だ。容量は15リットルと20リットルがラインナップされている。
防水のサイクリングシューズ
メッセンジャーバッグで知られるクロームの防水サイクリングシューズ。インナーに4層構造の防水透湿素材を採用しており雨のライドも快適にこなすことができる。ソールは耐久性に優れたゴム製で衝撃を吸収するポリウレタンボードも内蔵する。
(ライター 佐藤旅宇)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。