「なぜ?」と聞くと、「クラウドソーシングは、人を“取り替え可能な機械”のようなものと考えるから」と言うのです。

私は、仕事をプロジェクト・ベースのようにタスクに分けることができれば、子育て中の女性、障がい者、高齢者など、なんらかの制約があってフルタイムでは働けないけれどプロジェクトやタスクならば参加できる人がいる、技術やスキルのある人にとっては可能性が広がるという側面ばかり見ていました。

それで、この考え方には驚きましたが、「なるほど、こう考える人もいるのか」と思い、この会話がかなりの間、頭の中に残りました(今もまだ考えています)。

まずはボールを投げ、受け取ったらしっかりと返す

以上はごく最近の経験ですが、一方で私は、日本のセミナーや講演などでも、「クラウドソーシング」や「21世紀は個人の時代」といったことによく言及していることを思い出しました。ちょっと偏見があるかもしれませんが、日本でこうした話をしても、前述の二人のように、いろいろ聞いてきたり、反対意見を言ったりする人がほとんどないことに気づいたのです。

自分の思っていること、目指していることを「気楽」に人に説明すると、いろいろな意見や新しいアイデアが返ってきたり、意外なコメントが出されたりします。そうすると、自分自身でも何が言いたいのか、何を目指しているのかが、だんだんはっきりしてきます。自分一人で考えたり、内にこもったりしないで、まずは言ってみることが大事ではないでしょうか。

また、ある意見を聞いたら、それにきちんとコメントしたり、質問をしたりすることも同じように大切だと思います。アイデアのキャッチボールや組み合わせからどんどん進化していくので、最初にボールを投げなければ何も始まらないと思うのです。

自分で初球を投げてみることは、野球でなくても大切なことです。恐れていないで、まずは投げてみてはいかがでしょうか。そして、キャッチャーが良いとピッチャーも引き立つといわれるので、受けるほうもしっかり受け止めてあげることを心がけてみてはどうでしょうか。

石倉洋子
一橋大学名誉教授。1949年生まれ。71年上智大卒業し、。フリーの通訳などを経て米国で経営学修士号(MBA)と同博士号(DBA)を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社で企業戦略のコンサルティングなどを手がけた後、青山学院、一橋、慶応義塾の各大学・大学院で教授を歴任。専門は経営戦略やグローバル人材。資生堂などの社外取締役も務める。

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