まずは考えを言ってみる 知恵を借りアイデア磨く秘策
一橋大学名誉教授 石倉洋子(5)
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世界で通用する人材、会社で求められる人になるにはどうしたらいいの? そんな素朴な疑問に、世界経済フォーラムなどの国際舞台で多くのリーダーと接してきた石倉洋子氏は「ちょっとしたことから始めて、毎日の習慣にしてしまえば、生活の一部となって、どんどん力がついていく」と言います。では、どんな習慣を身につければいいのでしょう? このほど文庫として刊行された「世界で活躍する人の小さな習慣」から連載で紹介します。
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最近海外において、私が試したり、興味を持ったりしていることについて話すと、「あれ?」と思うような反応が返ってきて、そこから新しいアイデアがひらめいた、といった経験を何度かしました。
一方、日本ではあまり自分のアイデアや計画を周囲に話さない習慣があるのかもしれません。身内や親しい人には話しても、あまり知らない人に話すのはおかしいと思われるのでしょうか。また話したとしても、「あ、そう」と聞き流されてコメントが返ってこなかったり、異論や反論はほとんど出てこなかったりした経験は誰でもあるでしょう。
「空気を読む」とよく言われますが、かえって「空気を読まず」に自由に意見を言ったほうが、意外な発見があるのではないでしょうか。
自分のアイデアや計画を周囲に話す? 話さない?
2014年11月にドバイで開かれた世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・サミットに行った時のことです。それまでも何度かサミットやTEDxTokyoなどで会い、ツイッターをフォローしたり、著書を読んだりしていたジョン・マエダ(John Maeda)氏と朝食の時に隣り合わせになりました。
ジョンは日系アメリカ人で、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューター・サイエンス修士、筑波大学大学院芸術学研究科博士で、デザイン、テクノロジー、リーダーシップなどの分野で著名な人です。
ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの学長を経て、2013年からシリコンバレーにあるベンチャー・キャピタル、Kleiner Perkins Caufield & Byersのデザイン・パートナーとして活躍しています(TEDでは何度も講演していて、TEDxTokyoでもとても興味深いトークをしています)。