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大人は知らない大学の話

学生苦しめる「夢持て」 親世代と違う職業教育が原因

石渡嶺司 大学ジャーナリスト

2019/5/1

写真はイメージ=PIXTA

夢を持とう。夢を実現しよう。夢に向かって頑張ろう。親ならわが子に一度や二度は言ったことがあるのではないでしょうか。ところが、多くの大学生は「夢」という言葉によって苦しんでいます。夢という本来ならポジティブな言葉なのになぜでしょうか。背景には2000年代に入ってからの教育改革がありました。

■「夢がないから苦しいです」と漏らす大学生

大学や就職の記事・本を書き続けて18年。メールアドレスを公開していることもあってか、毎年、山のように進路・就職相談のメールが来ます。このうち、進路関連で多いのが夢についてです。

高校生だと「夢が持てないし、はっきり希望できる進路もない。どの大学(学部)がいいか?」という内容が毎年のように来るのです。

では、大学生はどうか、と言えばこちらも同じ。主に文系学部の学生から「夢がないのに夢を持て、と言われるのが苦痛」という相談がよく寄せられます。

「医療関係とか、同じ文系でも司法試験などの資格を目指す子と違って私は特にやりたい仕事がはっきりしていません。なのに高校までは先生が『夢を持て』とうるさくて。親も同じです。大学では先生からは言われないけど親からは相変わらず言われて…。社会人って、そんなに早く進路を決めるものなんですか?」(文学部英文学科1年生)

文系学部だけではありません。専門性の高い学部・学科の学生からも来ます。今から6年前、難関私大の機械工学科に入った学生からこんなメールが来ました。

「高校時代は理系教科の方が得意で、就職の良さもあって機械工学科を選択、入学しました。しかし、入学すると、回りとの差が大きくすぎてつらいです。回りの同級生は本当に機械が好きでモノづくりが夢です。でも私はそこまで熱意が持てません。(中略)だんだん、勉強も嫌になり、最近は大学に行くのもつらいくらいです」(工学部機械工学科1年生)

こうした悩みを持つ大学生はどの大学・学部であっても、異口同音にこう言います。「夢がないから、苦しいです」

では、夢って何でしょうか?

■キャリア教育と夢が直結した2000年代

「夢に苦しむ」と言うと、社会人、それも保護者の方は驚くかもしれません。実は親世代の「夢」と、今の高校生・大学生の「夢」とでは受け止め方が大きく異なります。

親世代、特に1990年代以前に大学を卒業した方であれば、受けた大学教育が今とは大きく異なることは前回(「もはや大学に遊ぶ暇はない 親の知らない大学事情」)書いた通りです。

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