今後は環境関連のベンチャー企業の立ち上げに力を注ぐつもりです。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)ではヘルスケア、カルビーでは食品を手がけて世の中を渡ってきました。世のため、人のためになるという志から、次は持続可能な社会をつくるための環境ビジネスに乗り出します。20年6月には具体的な経営戦略などを発表する予定ですので、楽しみにしていてください。

トップの後継指名、会社への未練生む

トップの振る舞いや引き際のありようを周囲はよく見ている

さて、今回お話ししたいのは、経営者としての身の処し方のことです。カルビーを退任するとき、「僕は次のCEOを知りません」と言っていたんです。これを「無責任な発言」と受け止める向きもありました。今の社長が次の社長を決めるという慣行が長く続いていたからでしょう。しかし、トップが自分で後継者を指名したら、退いた後も会社に残りたくなるじゃないですか。

退任時に当時の社外取締役に頼まれて僕はシニアチェアマンという肩書きを引き受けましたが、経営には全く関与していません。カルビーという会社の業績にも一切興味がないです。本来はCEOを退いたら、その会社との関係は終わりだと、スパッと関係を切るべきなんです。

カルビーで僕が会長兼CEOだったとき、その下には最高執行責任者(COO)がいました。指名委員会がなかったから、取締役会のあうんの呼吸でCOOの昇格が決まりましたが、僕が人事に何か口を挟んだことはありません。

カルビーの前、J&Jの日本法人には15年いて、うち9年は社長でした。最後の日も夜の11時ぐらいまでオフィスにいましたが、人事については一言も発しませんでした。口は出さない、興味も持たない。(僕の使命の)終わりは終わり、それだけです。昔から「リタイアメント・イズ・リタイアメント(引退は引退である)」と言っていました。そうしないと、後の人がやりにくいですよね。

人間ですから、引退後も会社に部屋がちゃんとあって、いくらか報酬をもらって、交際費や車を使って、ゴルフの会員権があったら、うれしくなるに決まっています。でも、そんなことはやったらいけない。

カリスマ経営者とされたゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ氏は、会長を退いた後もアドバイザーとしてGEに部屋を構え、GEの金をたくさん使っていました。あとで投資家から批判が出て、GEも放出したのですが、ウェルチ氏はあれで晩節を汚しました。

次のページ
経営者の振る舞い、周囲は引退後にも注目