大胆なマスクで有名なトヨタ「アルファード」や「ヴェルファイア」の影響もあるのか、昨今の国産ミニバンは出るたびに顔が派手になっている。「目立ったほうが勝ち」と言わんばかりだが、2019年春にはさらに強烈な「ファミリー」が登場した。三菱自動車の新型「デリカD:5」だ。小沢コージ氏によるとその戦略には日産自動車の影響も見られるという。
まるで「ロボット系マントヒヒ顔」
ついにこの領域まで来たか! そう思わされたのが、19年2月に出たばかりの三菱自動車「デリカD:5」だ。自慢のオールラウンダーミニバンで、高い走破性を発揮する独自の4WDシステムや、国産ミニバンで唯一のクリーンディーゼルエンジンが売りのクルマ。
今回は07年にフルモデルチェンジして以来のビッグマイナーチェンジであり、エンジン、ボディー、足回り、トランスミッション、内装と全面的に改良しているが、やはり最大の注目はデザインチェンジだろう。
一新したのは人気のディーゼルモデルのみだが、標準ボディーのフロントマスクのインパクトがとにかく大きい。鮮烈な横一線のフロントグリルはもちろん、左右に配されたタテ型の2連LEDライトも主張が強い。直線的でありつつ動物の頬のようにエグれていて、ある意味、「ロボット化したマントヒヒ」のようだ。
標準ボディーは「ヒゲでもそりますか?」と言わんばかりの電気シェーバーの刃のような模様のグリルで、一方の「アーバンギア」仕様は未来的なストライプ状のグリルを備えている。
機能の一部がフェイク(見せかけ)なのも特徴で、グリル脇の横型LEDライトはヘッドライトかと思いきや単なるポジションライトで、本当のヘッドライトは縦型LEDライトといった具合。内側がハイビーム、外側がロービームを担当し、夜間の顔つきはより大胆で未来的だ。
フルモデルチェンジ並みのマイナーチェンジ
この「ビックリ顔作戦」は、現在の三菱自動車の苦境とチャレンジ精神を表している。今回12年ぶりの改良でありながら、ボディーの骨格から一新するフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジに留まったのはやはり、日産傘下で再起を目指す三菱自動車の厳しい台所事情を思わせる。