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スマホカメラに「3眼時代」到来 ズームの弱点を克服 佐野正弘のモバイル最前線

2019/4/23

Galaxy S10+で撮影しているところ。画面下部のボタンを使い0.5倍、等倍、2倍のカメラに簡単に切り替えて撮影できる

今回、3つ目のカメラの用途としてはスマホカメラの弱点である画角の強化が一番大きい。

3眼カメラを採用したスマホの多くは、標準の画角に加え、超広角の画角、そして光学2~3倍相当の望遠撮影が可能なカメラを採用している。Galaxy S10/S10+を例に挙げると、メインカメラのほか、メインカメラに対して0.5倍、2倍相当のカメラを搭載しており、デジタルズームを使うとさらに10倍までの撮影が可能。それぞれのカメラを連携させることで、幅広い倍率での撮影ができる。

P30 Proはさらに強力なズーム機能を備えている。同機種はメインカメラのほかに0.6倍、5倍相当のカメラが搭載されており、それらを組み合わせることで、0.6倍の広角撮影から、デジタルズームを使って50倍までの望遠撮影が可能となっている。

さらにP30 Proはメインカメラのイメージセンサーの画素数が高いことを生かし、メインカメラで撮影した写真の一部を切り出すことにより、画質を落とさずにデジタルズームを実現する「ハイブリッドズーム」という機構を採用した。これによってコンパクトデジタルカメラに匹敵する10倍ズームまで画質を落とさずに実現している。

P30 Proのメインカメラで撮影したところ
同じくP30 Proを使い、10倍ズームで撮影したところ。ハイブリッドズームによって画質を落とすことなく、ここまでの望遠撮影が可能だ

■「潜望鏡」で薄いボディーに望遠カメラを搭載

スマホのズームを強化する上で問題になるのが、レンズの長さである。一眼レフカメラの高倍率レンズがとても長いのを見れば分かる通り、倍率の高い望遠カメラを実現するにはレンズとセンサーとの焦点距離を長くする必要があるため、どうしてもレンズが長くなってしまうのだ。

だがスマホでは本体が薄いことがとても重視されるため、長いレンズを本体に収めるのが難しい。そのため。これまでは光学ズームで最大2~3倍相当のものまでしか搭載できなかった。

P30 Proは「潜望鏡(ペリスコープ)」構造で光学5倍相当のカメラを薄い本体に内蔵した。レンズを縦ではなく横に並べ、プリズムで光を折り曲げることで、潜望鏡のような構造のカメラを実現し、薄いスマホの中に高倍率のカメラを収めた。

ペリスコープ構造の採用を発表したのはファーウェイが初めてではなく、中国のOPPOが先行した。同社はペリスコープ構造で10倍相当のハイブリッドズームを可能にしたスマホを開発していることを発表、4月10日にはそれを搭載した新しいスマホ「Reno」を発表している。日本での登場も期待されるところだ。

OPPOが開発したペリスコープ構造のカメラモジュール。プリズムを使い横長の構造にすることで、薄さが求められるスマホにも高倍率の望遠カメラを搭載できるようになった

今後ズームに強い3眼カメラを搭載する機種が増えていけば、スマホはズームが苦手という認識も過去のものとなり、活用の幅も大きく広がることだろう。筆者の個人的な例を挙げると、発表会などの取材で遠く離れたステージに登壇する人を撮影する必要があり、どうしてもズーム機能が欠かせないことからスマホのカメラを仕事に使うことはこれまであまりなかった。だがここまでズーム機能が強化されたのであれば、仕事にフル活用しても問題ないのではないかと考えるくらいになってきている。

さらに最近の動向を見ると、ノキアブランドのスマホを提供するHMD Globalが、5つのカメラを搭載したスマホ「Nokia 9 PureView」を投入するなど、一層カメラの数を増やそうという動きも出てきている。スマホの中でもカメラはとりわけ人気の高い機能の一つだけに、今後、どこまでカメラの数が増えていくのか気になるところである。

佐野正弘
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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