地方の観光元気に リクルート辞め40歳で起業の訳

日経ARIA

2019/4/15
WAmazing代表取締役社長CEOの加藤史子さん
WAmazing代表取締役社長CEOの加藤史子さん
日経ARIA

「今、転職や起業を考えている」という40・50代の働く女性は、38%(日経ARIA編集部調べ※)に上ります。安定も、それなりの地位もあるのに、それでも新しい一歩を踏み出す人は、何をてんびんに掛けて、何が決め手に起業の道を選んだのか――。話を伺ったのは、インバウンドと地域の観光をつなぐビジネスを展開するWAmazing(ワメイジング)の加藤史子さん。リクルートに18年間在籍し、次々と新規事業を立ち上げてきた彼女が、なぜ40歳の時に会社を飛び出したのでしょうか。

※調査概要
「40・50代の働く女性のワークライフ意識調査2019」は、フルタイムで働く35~59歳の女性に対して、2018年12月21日~2019年2月19日までWeb上で実施。2331人から回答を得た。うち30代は3.1%、40代は53.1%、50代は43.8%。

起業を決断するまで、1年以上迷い続けた

加藤史子さんは起業前、リクルートで「じゃらんnet」や「ホットペッパーグルメ」などの新規事業を開発。その後も、観光で地域を活性する「じゃらんリサーチセンター」で、若者をスキー場にフリーミアム(基本無料)のビジネスモデルで誘う「雪マジ!19」を立ち上げるなど、活躍していました。

2016年、40歳になった加藤さんは、「地方の観光産業を元気にしたい」との思いからWAmazingを起業します。WAmazingが展開するのは、訪日外国人旅行者(インバウンド)をターゲットにしたビジネス。外国人旅行者は事前に同社のアプリをダウンロードし、旅程や個人情報を登録すると、到着した日本の空港内に設置してある専用機で一定量無料のSIMカードを入手できます。

旅行者はアプリを利用して、国内1万件以上の宿泊施設やアクティビティー、交通機関などのサービスの予約・購入が可能。WAmazingは旅行者がアプリから予約・決済したサービスの手数料と、追加のデータ通信料を主な収入源とします。社会からの注目度は高く、起業後すぐに資本金10億円を集め、創業から2年半を経過した現在、さらに10億円を超える資金調達を見込んでいるといいます。

大企業の中で次々と新規事業を成功させ、ビジネスキャリアを積み重ねていた加藤さんが、なぜ起業に踏み切り、起業に際して何に1年以上悩んだのか。起業にまつわる質問をぶつけてみました。

Q なぜ、起業したのですか?

――新卒で入った会社で40歳近くまで勤め上げ、新規事業もいろいろと経験し、国や県の有識者委員も務め、充実したキャリアに見えますが、会社を辞めたくなる理由があったのでしょうか?

加藤史子さん(以下、敬称略) リクルートは起業や転職をする人が多い会社として有名で、社内にも組織の新陳代謝を促す仕組みがあり、定年まで勤め上げる人はわずかです。それでも私はリクルートが大好きで、ずっと会社員のままでもいいと思っていました。

しかし、観光で地方を活性化する事業を手掛けるうちに、外資に押され気味な日本の観光事業者や地域の観光資源を正しいポジションに戻したい、そのために、個人の旅行者とは単体で出会いにくい観光事業者を後押しする仕組みをビジネスにしたい、と思うようになりました。そうした新規事業を会社で行うことも考えましたが、会社にいたままでは実現できないと分かったのです。