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ヒットを狙え

リステリンが錠剤型に J&Jが若者をターゲット

日経クロストレンド

2019/4/9

「リステリンウォータリータブレット」は8個入りと16個入りの2種類。価格はオープン。8個入りの市場想定価格は400円程度
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オーラルケア市場に2019年3月18日、台風の目になりそうな新製品が投入された。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のマウスウォッシュ「リステリン」のタブレット、「リステリンウォータリータブレット」だ。かみ砕くだけで、口の中をリフレッシュできるというタブレットで、水のない外出先でも口の中の爽快感を味わえるところが、従来の液体タイプとの違いとなっている。

スメルハラスメント「スメハラ」などという言葉も生まれ、世の中にあるさまざまな不快なにおいに注目が集まっている。特に気になるにおいの代表選手、口臭の予防などにも役立つオーラルケア市場は年々大きく伸びていて、歯磨き用品からミントタブレットに至るまで、どれも売り上げが好調だという。

「リステリン」は日本にマウスウォッシュを紹介した最古参ブランドの1つ。18年に、ようやくシェアトップに躍り出たという。なぜ、そんなタイミングで新製品の発売に踏み切ったのか。そこには、日本ならではのオーラルケア事情がある。

同社の調査によると、日本でマウスウォッシュを使う人の割合(世帯浸透率)は28%ほど。年々増えているとはいえ、多くの家庭の洗面所にマウスウォッシュが置かれている米国の63%とは、2倍以上の開きがある。その理由は、国民健康保険が整備されている日本と違い、米国では歯周病や虫歯の治療に莫大な費用がかかるからだ。マウスウォッシュで予防を徹底したほうが、はるかに安上がりといえるのだろう。

では日本人はオーラルケアに興味がないのかというと、決してそうではない。歯磨きを1日2回以上する人や、歯周病について知っている人の割合で言うと、むしろ米国より多いのだという。

浦崎里奈シニアブランドマネージャーは「オーラルケアに関心のある消費者は多いけれど、実際にはマウスウォッシュをしてまでケアしている人は少ない。日本の市場にはそうした『ギャップ』があり、ここに新製品の販売機会があるのではないかと思っている」と話す。

「20~30代は、いい物なら新製品でも先入観なしに受け入れる特徴がある」とジョンソン・エンド・ジョンソンの浦崎里奈シニアブランドマネージャー

同社がもう1つ、新製品発売の背景に挙げるのは、年代別のマウスウォッシュ使用率だ。歯周病や口臭が気になる50~60代にはマウスウォッシュが比較的浸透しているのに対して、圧倒的に使用率が低いのは20~30代だ。今回の新製品では、特にこの世代をターゲットに、リステリンブランドを浸透させる狙いがあるという。

「20~30代の特徴として、人と積極的に関わり合いたい一方で、人にどう見られるかが気になるというインサイト(潜在意識)がある。それも単なる見た目のオシャレより、口臭や体臭などの不特定多数へのエチケットが気になる人が多い。オーラルケア商品に求めている便益も、歯周病や虫歯の予防を抑えて、圧倒的に口臭ケア」(浦崎シニアブランドマネージャー)

今回のタブレットという形状も、この世代に親和性が高い。働き盛りで外出時間も長く、自宅や会社の洗面所で、歯磨きからマウスウォッシュまでケアのフルコースに、じっくり取り組む時間のない人も多い。そんな彼らが手に取っているのは、この世代が好む「フリスク」や「ミンティア」などのタブレット菓子と思われる。

「口臭清涼剤市場は約100億円規模。その約7割が、口臭ケアの効果を求めているとされる。ここに一石を投じていきたいと思っている」(同社マーケティング本部の諸橋桜子氏)

20~30代に届くようにと、マーケティング予算の半分を、これまで中心だったテレビCM以外に割いた。スマートフォンの位置情報を活用し、その人がいる場所に応じてパーソナルな広告を配信するジオターゲティング広告も実施。例えば、渋谷ハチ公前で待ち合わせをしている人に、「デート前に、こういうタブレットはどう?」という広告が届いたりするらしい。

タブレットの粒は比較的大きめ。個包装され、清潔感がある

そのタブレットを体験させてもらった。ゆっくりかめば口の中が、うるおいいっぱいのミント味に。口を水でゆすいだ後のようなさっぱり感がある。官能検査員のテストでは、きれいな息が4時間持続するとのこと。ポケットに入る新しい形態のマウスウォッシュとして、ターゲットの若者だけでなく、これまで「ぐちゅぐちゅペー」と口をゆすいできた、既存マウスウォッシュのお得意さまである40~50代にとっても注目の商品だろう。

(ライター 福光恵)

[日経クロストレンド 2019年3月15日の記事を再構成]

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