2019/3/19
背景の光源は太陽。輪郭を捉えきることができないほどの巨大さを表した(HERMES提供)

――制作にはどれくらいの期間がかかりましたか。

「まずコンセプトづくりやデザインの作業から始め、実際の制作は2018年9月から取りかかり4カ月ほどかかりました」

――これまで手がけた作品と比べていかがですか。

「規模は一番大きいですね。入り口の地球のオブジェだけではなくて、ブースの内も外も全て手がけました。あとはやはりエルメスという特別なメゾンなので、すごくエキサイティングでした」

「エルメスとは2013年くらいからのお付き合いですので、よく私のことを知っていただいていると思いました。エルメスは常に自由にクリエーションを任せてくれます。本当に素晴らしいなと思うのですが、『テーマはダブルムーンとドリーム、以上』で、あとは何してもいい。信用してくれているわけですよね。私は大御所というわけでもないのに。すごくうれしいですね」

黒い日の丸にも見えるが、「そういう意図はないです。日の丸に見えると考えたこともありませでした。これは地球ですから」(HERMES提供)

――そもそも、なぜ東大工学部からなぜアートの世界へ。

「高校時代は智弁和歌山のブラスバンド部として、野球部の応援などでトランペットを吹いていました。音楽をやっていたことが後々の進路に結構大きく影響しました」

「当時は航空機のパイロットになりたかったんです。東大に行きたかったので、そのなかで最も志望に近い工学部航空宇宙工学科へ進みました。ただ、本当にしょうもない話なのですが、目が悪かったので結局、パイロット試験を受けるにも至りませんでした」

「同級生は機械としての航空機や宇宙機をつくることに情熱を持った人たちでしたが、私自身は飛行機という存在というか、空を飛ぶことのロマン、宇宙といった未知へのロマンの方が強かったので、エンジン開発などにはあまり魅力を感じませんでした」

壁の向こうに広がっているのが太陽。「オブジェの向こう側は昼で、手前は夜なのです」。つまりはブースの入り口に立つと、月の表側から地球を眺めている格好となる

「自分自身、何をしたいのかと考えあぐね、大学院に進み、人工知能を専門としている堀浩一教授の研究室に入りました。すばらしい先生で『何でも興味のあることを全力でやりなさい』といった感じでした。そこで強く意識するようになったのは、『自分にしかできないことやる』『人と違うことをやる』ということです」

「こうしたことを考えた結果、小型飛行船を手がけることになります。エンターテインメントにおける航空宇宙機の活用について考えたのです。もちろん音楽をやっていたという経験が大きいです。当時はドローン(小型無人機)なんて今のような感じではなかったので、エンターテインメントにおける航空機というのは、広告用の飛行船があるほかは、無線操縦みたいなオモチャしかありませんでした」

「音楽、クリエイティブパフォーマンスに興味があって、かつきちんと航空宇宙工学と人工知能(AI)、ヒューマン・コンピューター・インタラクション(人間とコンピューターの相互作用)を勉強した私が、再発明というと言い過ぎかもしれませんが、何ができるかを考え直せば、無線操縦の飛行船よりももっと素晴らしく、面白いものをつくれるのではないかと思ったのです」

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