秋元康氏、次はガールズバンド 40人から曲ごと選抜

日経エンタテインメント!

AKB48や乃木坂46などの女子アイドルグループを次々と成功させている秋元康氏が、今度はガールズバンドのプロデュースに挑む。その「ザ・コインロッカーズ」は全40人から成り、平均年齢16.9歳(発表会当時)。楽曲ごとにメンバーを選抜する、新しいスタイルが話題になりそうだ。

2018年12月23日の結成発表会で初めてマスコミの前に立った、13歳から19歳のオーディションの合格者たち(発表会当時)。「ザ・コインロッカーズ」というバンド名が発表になった

結成発表会は2018年12月23日、ワーナーミュージック・ジャパンがバンドの登竜門である東京・Zepp Tokyoで開催した。マスコミはステージに上がり、客席はあえて空けて行われた。会見で発表となった公約は「結成から1年後の19年12月23日に、現在ゼロのこの客席を満員にすることを目指して単独ライブを開催する」だった。

プロジェクトの経緯や、バンドのコンセプトの説明をする総合プロデューサーの秋元康氏(左)とワーナの小林和之代表取締役社長兼CEO(右)

全40人、平均年齢16.9歳のこの新バンドは、同じ秋元氏プロデュースのアイドルグループとは異なる点が多い。まず、ターゲットとするファンは、「下北沢や原宿などを歩いている、自分たちもバンドをやってみたい女性層からの、憧れや共感を目指す」と、ザ・コインロッカーズを統括する、ワーナーの団野健氏は語る。また、ボーカルやギターなど担当パートが決まっており、楽曲ごとにメンバーを選抜することも特徴だ。

同性の支持を得るためには、ビジュアルだけではなく、バンドとしての実力が不可欠となる。そのために6月のメジャーデビューに向けて本格的なレッスンを開始するそうだ。「現時点では実力差の幅が大きいので、パートごとにテストをしてクラス分けをします。スキルアップのため、厳しい指導ができる先生をそろえましたし、合宿も予定しています」(団野氏、以下同)。

1曲ごとに激しい実力勝負

また、メンバーはボーカルでもソウル、ロック、バラードなどジャンル別にうまいメンバーがそろっているという。「楽曲ごとに選抜メンバーは大きく変わっていくでしょう」。これまでのアイドルグループでは、一度センターや選抜常連メンバーが決まってしまうと大きな変化はなかなか起こらないケースが多かった。このグループでは、楽曲ごとに実力勝負が繰り広げられ、競争が激しくなることでメンバーの実力向上は加速していくだろう。

6月のメジャーデビュー後は、テレビ出演なども予定するが、ライブハウスや夏フェス出演などの活動が中心になりそうだ。「人前でパフォーマンスする、武者修行の場をできるだけ増やしていきたい」。

2018年12月22日には、最終審査合格者に、ギターやベース、ドラムスティック、マイクなどの担当楽器が届く様子をSHOWROOMで生配信した

SNSとの付き合い方も異なりそうだ。アイドルは毎日の活動内容や気持ち、オフショットなどを有料のメールで配信したり、インスタグラムでお洒落な自撮り写真をアップすることが多いが、ザ・コインロッカーズはオーディションでも活用したSHOWROOMが中心となりそうだ。「オーディションの時点でも、まだ無名にもかかわらず有料ギフトを投げられていたメンバーがいました。今日あった出来事を話すだけではなく、上達した楽器などの腕前を披露する場として、同じバックグラウンドを持つSHOWROOMとは相性が良い。一昔前の、ストリートライブと同じ感覚になるのではないでしょうか」。

当面の目標は結成発表会から1年後のZepp Tokyo公演をソールドアウトすることだが、その先のビジョンも既に描かれている。「12月23日は結成記念日として、毎年規模を拡大した会場でライブを開催していきたい。またアジアを手始めに海外展開も視野に入れている。そのために多言語を話せる外国籍のメンバーも加入しています」。

飽和状態のアイドルグループとは異なる“ファンと共に成長していく”仕掛けを多数用意しているザ・コインロッカーズ。まずは、これまでのアイドルではリーチできなかった層の心をつかめるかが、最初に乗り越えるべき壁となりそうだ。

(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)

[日経エンタテインメント! 2019年3月号の記事を再構成]

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