「相談すると迷惑そう」 若手の遠慮は上司にも原因
リクルートマネジメントソリューションズ 的場正人
写真はイメージ=PIXTA
今どきの若手社員を、自分で考え、創意工夫し、動けるように育て上げるにはどうすればよいか。リクルートのグループ会社でトップクラスの営業成績をあげてきた的場正人氏の著書「自分で動く若手営業の育てかた」から紹介します。今回は声をかけても相談に来ない若手への対処法です。
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入社3年目の町田さんは、この春から上野さんのチームの配属になりました。上野さんのチームは、外資系のパッケージソフトを多く扱っていますが、扱う商品の数が多く、専門的なものがほとんどなので最初は大変です。営業マネジャーの上野さんでさえ、お客様からの問い合わせにすぐに答えられないことが多く、社内の担当部署を探し出して答えを聞き出すことに苦労しているほどです。
「町田さん、うちのチームは、あなたが前にいたところとちがって、扱う商品数も多いし、機能や導入方法も複雑なものが多くて、社内のいろんな部署の人に相談しながらじゃないと商談が進められないものばかりなの。最初は特に、わからないことがあったらすぐに相談してね」。上野さんは、最初の面談で、そう説明しました。
簡単な問い合わせに返答できない
入社3年目ともなると、営業の要領はわかってきているようで、訪問件数は順調に伸びています。しかし、本来であれば、お客様を訪問すれば、それだけお客様からの問い合わせに対応しなくてはならないはず。町田さんは配属が変わったばかりですから、どのように回答したらいいか、など、もっと相談があってもいいはずなのに、と、営業マネジャーの上野さんは心配になりました。
そこで上野さんはできるだけ「わからないことがあったらすぐ相談してね」と声をかけ、時間をみては、扱っている商品一つひとつについて、特徴や導入のポイント、見積もりや導入の際に話をすべき他部署のキーパーソンを伝えるようにしていました。
ところが2カ月ほど経ったころ、上野さんは、同じチームの谷さんから、「町田さん、お客様のA社さんと、ちょっとトラブっているみたいですよ」という話を聞きました。お客様に、電話でお叱りを受けている様子だったため、谷さんも心配になったのです。