現代に働く人の葛藤に響く 1世紀前の渋沢栄一の言葉人生の景色が変わる本(1) 『現代語訳 論語と算盤』

要点3 毎日を新たな気持ちで理想を持って仕事する

長い間の慣習が染みついた組織や社会では、毎日の仕事を形式的にこなしがち。日々を新たな気持ちで過ごさないと、はつ剌さが失われ、組織全体も活力を失ってしまう。どんな仕事でも、ワクワクするような気持ちや熱い真心を持って取り組めば、飽きてしまったり、嫌になってしまうような苦痛は感じないだろう。そして、その姿勢で仕事を続けていれば、すべてとはいかないまでも、自分の理想の一部はかなうはずだ。

要点4 成長のもとになるのは“善意の競争”

何かを一生懸命やるためには競うことが必要で、ビジネスも例外ではない。努力や知恵、工夫によって他人に勝つという“善意の競争”は、勉強や成長のもとになる。一方、妨害や虚偽で他人の利益を奪うような競争は“悪意の競争”。これによって一時的に利益を得ても、やがては自分や組織の信用を落とし、なかなか回復できない。そればかりか、業界や国全体の損失にもつながってしまう。

要点5 成功や失敗は努力した人の体に残るカス

世界の情勢がめまぐるしく動き、技術も日々進化する時代。そのなかでは、失敗を怖れずに、大胆な気持ちで物事に挑戦することが大事。そうやって努力したなら、たとえ失敗したとしても悲観する必要はない。「今回は自分の知力が及ばなかった」と思って勉強を続けていれば、また幸運に恵まれるときが来る。結局、成功や失敗というのは、心を込めて努力した人の体に残るカスのようなものなのだ。「成功か失敗か」という価値観から抜け出して、超然として努力を続ければ、もっと価値のある人生を送ることができる。

(嶌陽子)

[日経ウーマン 2019年1月号の記事を再構成]

現代語訳 論語と算盤

著者 : 渋沢 栄一
出版 : 筑摩書房
価格 : 886円 (税込み)

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