橋本愛 ロルバーンのノートで気付いた書くことの魔力

「物語が宿る」フィルムの写真で感動する心を養う

橋本さんがデビューして10年。その間に世の中のケータイはスマートフォンが主流になったが、橋本さんは「ガラケーに変える計画をしている」と笑う。

「デジタルとの付き合い方を自分でコントロールしないと、原始的なものが奪われてしまう気がするんです。私はそこまで、この人に心を許してない(笑)。

今は漫画も小説もケータイで読めますけど、私はできるだけ紙の本で読みたいです。映画もそうですけど、作り手は媒体のサイズを意識して、狙っている表現があるはず。それを、そのまま狙い撃ちされたい」

お気に入りの趣味のモノは、FUJIFILMのコンパクトフィルムカメラ「NATURA CLASSICA」。生産中止となった幻の名機で、オートで味のある写真が撮れることが特徴だ。

今はシネスチールという映画に近い質感が出るフィルムで撮っています。NATURAはISO1600のフィルムを入れると暗いところでも奇麗に撮れるんですけど、もっと物語性が欲しいなと思ってシネスチールに。街灯や信号機の光までもが印象的に映って、現実がぐっとファンタジーになるのではまっています

「買ったのは5、6年前。駄々をこねている子供をそっと撮って、一人で眺めてほくほくしています。NATURAはピントを合わせるのも簡単なので、撮りたいと思ったとき瞬時に撮れるのがいいですね。

私は自分で撮るならフィルムがいいです。例えば、おばあちゃんが何かを食べている。フィルムだとそれだけでも物語が宿るんです。そんな風に日常がドラマチックにアップデートされるのがたまらなくて。デジタルも深く知れば面白さがあると思いますが、肉眼に近い解像度のものを残すことに今は興味が湧かないです。詳しい人に力説されたら、はまってしますかもしれませんが(笑)。

本当に写真に詳しい役者さんは、レンズと自分の距離を見るだけで画角が想像できるみたいで。『俺、この辺に立つといいかな?』とご自身で移動されたりする姿を見ると、いいなあ、と思います。私がそこまでできるようになるには、まず勉強しないと(笑)。

今、欲しいものですか。うーん……ある。……いっぱいある。えっと、そうだな、うーん、えーっと、うーん、あ~(しばし熟考)……あ、ピンクのタイツで(笑)。理由? ピンクが好きだから。すみません、こういうの、適当に答えられなくて(笑)」

橋本愛
1996年生まれ、熊本県出身。2009年に雑誌「Seventeen」のミス・セブンティーンに選ばれ、同年女優デビュー。10年に映画「告白」で脚光を浴び、12年の「桐島、部活やめるってよ」「Another アナザー」などで日本アカデミー賞やキネマ旬報ベスト・テンなどの新人賞を獲得。13年にはNHK連続テレビ小説「あまちゃん」でも注目を集めた。以降の出演映画に「リトル・フォレスト」(14年)、「バースデーカード」(16年)、「美しい星」(17年)、「ここは退屈迎えに来て」(18年)など。19年1月から大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演。

「21世紀の女の子」

(C)2019「21世紀の女の子」製作委員会

「溺れるナイフ」(16年)をヒットさせた新鋭・山戸結希監督が、同世代の1980年代後半~90年代生まれの女性監督14人と作り上げたオムニバス映画。「自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること」をテーマにした、バラエティ豊かな短編が楽しめる。企画+プロデュース+監督・山戸結希 監督・井樫彩、枝優花、加藤綾佳、坂本ユカリ、首藤凜、竹内里紗、夏都愛未、東佳苗、ふくだももこ、松本花奈、安川有果、山中瑶子、金子由里奈、玉川桜 出演・橋本愛、朝倉あき、石橋静河、伊藤沙莉、唐田えりか、黒川芽以、瀧内公美、日南響子、松井玲奈、三浦透子、山田杏奈ほか 2019年2月8日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次ロードショー

(文 泊貴洋、写真 藤本和史)

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