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20歳の頃

「学生に戻れるなら歴史を学びたい」 サントリーホールディングス社長 新浪剛史氏

2019/3/4

むしろリベラルアーツ、特に歴史をもっと勉強しておけばよかったなと反省します。もともと高校時代から世界史・日本史に興味はあって、京都大学文学部へ行って歴史を学ぼうと思ったこともありました。

ローマ人の物語や司馬遼太郎の「坂の上の雲」など、40代を超えてから様々な歴史の本を読みましたが、旧日本軍の敗因を分析している「失敗の本質」という本は経営書としても良著です。なぜ大戦を起こしてしまったかを探るなかで、日本という国、日本人というものについても考えさせられる。

グローバル時代だからこそ、リーダーは日本の歴史・文化というものを知る必要がある。もっというと文化人類学ですね。

日本人ってどんなものかがわからないと上に立てないし、一方で世界とのギャップをどう超えるかという点でもそれぞれの国の歴史や文化を知って違いを認識することは重要です。海外から帰ってきたけど意外に使い物にならないなあと思う人は、「Who are we?」をわかっていないことが往々にしてあります。

当社は米国企業を買収しました。サントリーは日本をベースにして日本人に合う商品をつくってきた。一方でビーム社のスピリッツ、バーボンというのはザ・アメリカの文化。これと一緒になるのはすごいチャレンジなんです。むしろ一緒にはなれない。違いを認識した上で一緒に共鳴できるものをつくることが大事です。

バーボンのつくり方にしても「いいもの」を持っているのですが、その「いいもの」は人に帰属しているんです。我々は投資家ではない。ただ数字をなめて収益改善だ、効率化だと言っていると、「いいもの」を失ってしまう。

実はローソンの社長になって3年目くらいから家庭教師をつけて哲学を勉強したことがありました。詳細はもう覚えていないのですが、それよりも物の考え方ですかね。例えば日本は多神教だったのに対して、西洋は一つの神のもとに考えていくっていう、それぞれの発想の違いの根本が何なのか、なぜこんなに違うのかに興味が出てきた。人の上に立つのに、そういう基本的なことを知らなくていいのかなという疑問があったのです。

例えばルサンチマン(哲学者ニーチェの用語で、弱者が強者に対して持つコンプレックス)がいかに人間に影響しているかとかね。そう考えるとますます経済学って意味がなくなる。経済というのは基本的に合理的に動く、でも人間は合理性がないことがある。そういうものをどうマネージしていくか、すごく難しいですね。日本はルサンチマンそのものですし。そういう学びは現在、経済財政諮問会議でも役に立っています。

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