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病気・医療

風邪・インフル… どうして病気はうつるの?

2019/2/3

スーちゃん 学校で風邪(かぜ)がはやっているよ。インフルエンザにかかった人も多い。病気がうつらないようにマスクや手洗いをすすめられるけど、どうしてこういった病気はうつるんだろう。体はどうやって病気から身を守るのかな。

■細菌やウイルスが鼻・口から入るんだ

森羅万象博士より 病気には風邪や風疹(ふうしん)、がんや糖尿病(とうにょうびょう)などさまざまな種類がある。そのなかでも、細菌(さいきん)やウイルスといったものが起こす病気を「感染症(かんせんしょう)」という。これがうつる病気だ。風邪や風疹、マラリアや結核(けっかく)などたくさんある。病気を引き起こす細菌やウイルスなどを「病原体」と呼ぶよ。

病原体は数万種もあるけど主に4つに分かれる。一つはウイルスだ。もっとも小さく、かみの毛の太さの100分の1以下の0.5マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルより小さいものが多い。理科の授業で使う顕微鏡(けんびきょう)でも見えない。インフルエンザやエイズなどを起こすものがある。

2つ目は細菌。大きさは1~10マイクロメートルで顕微鏡で見えるくらいだ。結核や肺炎(はいえん)などの原因になる。3つ目はカビ。真菌とも呼ぶよ。大きさは3~40マイクロメートルで、水虫やぜんそくなどを起こすものがある。4つ目は一番大きい寄生虫だ。大きいものは長さが10メートルもある。マラリアなどの原因になるよ。

病原体は鼻や口から人の体に入って増え、病気を引き起こすのが一般的(いっぱんてき)だ。入り方には大きく3つの方法があるよ。

一つは、せきやくしゃみによる「飛沫感染(ひまつかんせん)」。病気の人がせきやくしゃみをしたとき、病原体をふくむしぶきの粒がとんで他の人の手などにつき、その手で鼻や口にさわることなどでうつる。せきをしたとき、しぶきの粒(つぶ)は1~2メートル先にも届(とど)くんだ。インフルエンザや風疹などがこれでうつる。くしゃみやせきをするとき口をおおった手でドアノブをさわると、後でふれた人にうつるから注意しよう。

2つ目は「空気感染」だ。くしゃみなどのしぶきが乾(かわ)いて水分がなくなり、病原体をふくむ小さな粒になると、空気中に長時間ういていられる。これをすい込んでうつるんだ。はしかや水ぼうそう、結核などがこれにあたる。もう一つは病原体が付いた手すりやドアノブなどに触(ふ)れてうつる「接触(せっしょく)感染」だ。そのほかに、血液や蚊(か)などの動物を経てうつるものもあるよ。

病原体が少しだけ体に入っても、増えなければ病気にはならない。体には病原体を倒(たお)す「免疫(めんえき)」という仕組みがあるんだ。体の中にはいつもパトロールをする細胞(さいぼう)がいて、病原体を見つけると食べて取り除(のぞ)くんだ。もし、病原体が多ければ仲間の細胞に助けを求めて倒す。このときに体に熱や痛(いた)みがでるんだ。

免疫にはもう一つ種類がある。特定の病原体の目印を覚えておいて、同じものが体に入ってきたときに攻撃(こうげき)するんだ。この働きを利用したのがインフルエンザや風疹などの予防接種。病原体の目印をわざと体に入れて、司令塔(しれいとう)役の細胞に特徴(とくちょう)を覚えさせて、本物の病原体との戦いに備えさせるんだ。すると病気にかかったり、症状(しょうじょう)が重くなったりするのを防げるよ。

それでも病気になることはある。特に免疫が十分に働かない子どもやお年寄りはなりやすい。大人でもつかれや不規則な生活で免疫の力がおとろえると、病気になりやすいよ。

病気を防ぐには、まず手洗(てあら)いが大事だ。手についた病原体が口や鼻をさわったときに体内に入らないようにする。指やつめの間もふくめて、20秒は水か湯で流そうね。せっけんを使えば、油分についた病原体もよく流せる。トイレや外出の後、食事の前には必ず洗おう。

せきやくしゃみが出る人は必ずマスクを付けよう。病原体を含むしぶきをまき散らさず、インフルエンザなどがはやるのを防げるよ。電車やエレベーターなどせまい場所に多くの人がいる所では必ず使おうね。

うがいも有効だ。のどに付いたウイルスなどを、水やお湯で押し流して体に入り込むのを防ぐんだ。でも病原体はのどに付いてから20~30分で、体の中に入る。うがいは外から帰ったら、手洗いと一緒(いっしょ)にすぐやろう。

予防接種で防げるものもある。よく食べてよく寝(ね)て、しっかり運動をすれば、免疫の働きが落ちるのを防げる。規則正しい生活をしようね。

■ワクチンや治療薬 感染症制圧の鍵

博士からひとこと 大昔から人類は様々な感染症に悩(なや)んできた。14世紀に流行したペストは欧州(おうしゅう)で人口の3分の1が亡くなったとされる。1918~19年に世界で流行したインフルエンザの「スペイン風邪」による死者は数千万人といわれる。
感染症の制圧に役立つのがワクチンだ。18世紀末には英国のジェンナーが天然痘(てんねんとう)のワクチンを開発した。19世紀後半にはフランスのパスツールが、狂犬病(きょうけんびょう)などのワクチンを開発した。19世紀末にはドイツへ留学した北里柴三郎が破傷風(はしょうふう)などの血清療法(けっせいりょうほう)を開発した。世界保健機関(WHO)は1980年に、天然痘の根絶を宣言(せんげん)した。
一方、治療薬(ちりょうやく)では、英国のフレミングが1920年代末に世界初の抗生物質となるペニシリンを発見。その後も様々な抗生(こうせい)物質や抗ウイルス薬が開発された。だが抗生物質の乱用によって薬の効かない耐性(たいせい)菌がまんえんしたり、治療法がない新興(しんこう)感染症が登場したりといった新たな課題が生じている。

(国立感染症研究所の阿戸学感染制御部長に取材しました)

[日本経済新聞夕刊2019年1月26日付]

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