ソフトバンク新CM 豪華キャストと音楽の力で好発進
2019年1月前期 CM好感度月間ランキング
CM総合研究所が発表する1月前期の銘柄別CM好感度ランキングで、ソフトバンクが3位にランクイン。1月1日から始まった広瀬すず、エレファントカシマシの宮本浩次、田中圭、吉沢亮、清原果耶を新たに起用した新シリーズがけん引し、10~30代男女の支持を得た。今までのソフトバンクのCMとは一味違う、かっこよさやインパクトが反響を呼び、企業イメージの刷新効果も表れている。
新シリーズCMを手がけた電通エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/CMプランナーの澤本嘉光氏は「今年のソフトバンクは『音楽』をテーマに、様々なアーティストとコラボレーションしていきます」と宣言。第1弾の「しばられるな」編では、活動を再開したいきものがかりがCMのために書き下ろした新曲『WE DO』にのせて、ガラスや壁を壊しながら進む広瀬すず、ギターを背負った野武士姿の宮本浩次、宙に浮き空を飛ぶ田中圭、多国籍の人々の間を縫うように歩く吉沢亮、制服姿で駆け出す清原果耶が描かれる。演奏するいきものがかりの姿も映る。
音楽に着目したのは、「今は動画を見ながら音楽を聴いている人も多く、良い音楽は人の心を動かす力を持っているから」(澤本氏、以下同)。そのため、CMの最後に出る企業ロゴは音符をイメージしたものに変わっている。最終的には、スマホの大きな課題である速度制限にしばられず、音楽コンテンツを存分に楽しんでほしいという思いもあるという。
新シリーズには企業イメージを刷新する狙いもある。「『ソフトバンクは、良い意味で"常識を裏切る"企業だ』ということをもう一度言葉にしたいと思い、『しばられるな』というコピーで、常識や既成概念にとらわれない結末に向かうストーリーを作りました。これまでのソフトバンクのCMは、楽しさであったり、安心感であったりというイメージを表現できていたと思います。ただ、特に若い人にとっては、ソフトバンクが常にチャレンジングな企業であるということや、本当の"ソフトバンクらしさ"というものが分かりにくくなっているのかもしれないということを最近感じていました。音楽を軸にして、CM自体も自由な発想で、しばられないものを作ることで、ポジティブな意味でのやんちゃな姿、クールなイメージをもう一度押し出していきたいと考えました」
キャストの5人を起用したのも、それを体現できるキャラクターだったから。「5人は凛(りん)とした強さがあって、思いっきり暴れていてもどこか"品"がある。ソフトバンクもかっこいい存在であるべきだと思っているので、このメンバーに出演していただきました。これまでの既成概念やCMのあり方に"しばられない"設定やストーリーを繰り広げているので、キャストのみなさんには、今までのイメージとは一味違った演技をしてもらっています。広瀬さんにはボクシング。宮本さんには侍の姿で戦っていただいたり、田中さんは空を飛んだり、吉沢さんにはダンス、清原さんには高飛びを披露してもらいました」
CMの支持層は、20代女性を中心に若い層に響いている。モニターの感想には「とてもかっこいい」「破壊力がすごい」「あまりの勢いのよさと自由度に笑ってしまった」「スピード感があって面白い」「何か新しいことが起こりそうなことを予感させる」といった、これまでのソフトバンクのCMではあまり書かれなかったコメントが並ぶ。
CM総合研究所の関根心太郎代表は、1月1日からCMを流したタイミングもインパクトを強める効果があったとみる。「ソフトバンクさんは、大晦日までの6日間のみ『白戸家』のメンバーが中島みゆきの『時代』を歌うCMを流して、年があけた瞬間に『しばられるな』の新シリーズを始めています。静から動への切り替えが見事でした。お正月は、何かを始めたいとか変えたいとか、気持ちを新たにするタイミングなので、そこで企業の新しい姿勢を打ち出すのは、メッセージがより強く伝わる効果があったと思います」
■ミュージックビデオでもコラボ
アーティストとのコラボも、CMとして新しい試みだ。澤本氏は、いきものがかりと組んだ理由をこう話す。「昨年の11月に活動を再開したばかりのいきものがかりの初配信リリースを、コラボレーションさせてもらえること自体にパワーがあると思いました。いきものがかりは、音楽に力があって、アーティスト性も非常に高い。開拓者であるソフトバンクのイメージにぴったり合っていると思っていました。特に歌詞については、何度も打ち合わせをして、今回のCMのメッセージと合う言葉選びを意識しました。あわせて注目していただきたいのは、『WE DO』のミュージックビデオです。CMの世界観の中で撮影された、ソフトバンクといきものがかりのコラボ作品になっています。歌に込めたメッセージもより伝わってくると思います」
澤本氏は、今後も様々なアーティストとコラボレーションしていきたいという。「しばられるな」の言葉通り、従来の楽曲タイアップCMの枠を超えた取り組みが期待できそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当半月オンエアCM:全2318銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター1500人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある
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