『グッド・ドクター』 リメーク効果で米国版もヒット
2018年12月 海外ドラマ月間レンタルランキング
海外ドラマで人気の高い医療もの。その新たな名作との呼び声が高いのが『グッド・ドクター 名医の条件』だ。自閉症でありながら、天才的な記憶力と空間認知能力を持つサヴァン症候群という主人公の設定が共感を呼んでヒット。TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキング12月度で初登場3位。近年の医療ドラマの中でも好スタートとなった。
『グッド・ドクター 名医の条件』の舞台は、カリフォルニア州にある聖ボナベントゥラ病院。院長グラスマンは、自閉症だが天才的な記憶力と驚異的な空間認知能力を持つサヴァン症候群の青年ショーンを自らの病院に外科研修医として招く。だが院長の座を狙う外科部長マーカスなど理事会メンバーや多くのドクターは、ショーンが自閉症であること自体が患者に不安を与えたり、現場に混乱をもたらすと彼の勤務に反対する。それでもただドクターになるという一心で、ショーンは難病を抱える患者たちを次々と救い、院内で旋風を巻き起こしていく…というストーリーだ。
全米では2017年9月からABCで放送が始まり、新作で視聴者数No.1となるなどの大ヒットを記録。18年にシーズン2が始まる人気シリーズとなっている。
主人公ショーンを演じるフレディ・ハイモアは『チャーリーとチョコレート工場』などで子役として活躍し、映画『サイコ』の前日譚(たん)『ベイツ・モーテル』では若きノーマン・ベイツを演じて注目を浴びた若手男優。本作では一転、難病を抱えるピュアな主人公を演じて、ハマリ役の名演技と高く評価されている。
逆境を乗り越えながら人間として成長していく主人公の姿が感動を呼ぶ一方で、緊迫感あふれる手術シーンや病院内の政治的な駆け引きも本作の見どころ。製作総指揮を担うのは医療ドラマのヒット作『Dr.HOUSE』を手がけたデイヴィッド・ショア。難病を解明していくスリリングな描写は、彼が得意とするところだ。
本作は13年に韓国で放送された同名ドラマのリメーク。18年には日本でも山崎賢人の主演でリメークされており、韓国、米国、日本のいずれでも高視聴率を記録している。
TSUTAYA レンタルユニット 映像チーム海外ドラマ担当の中山知美氏は、リメークによる認知度アップも米国版のヒットを後押ししたとみている。「初登場3位は、昨今の医療ドラマの中でも好発進。レンタルユーザーの男女比を見ると、韓国版が22対78と女性が多いのに対して、米国版は55対45と男女まんべんなく見られているのが特徴。通常の医療ドラマより男性に多く見られており、半数以上が半年以上ぶりに海外ドラマを借りられた方です。地上波で放送された日本版で認知が広がった効果ではないでしょうか」
■『24-TWENTY FOUR-』も日本版が登場
最近は『グッド・ドクター』をはじめ、アジアを含む海外ドラマの日本版リメークが相次いでいる。18年に織田裕二が主演した『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)、常盤貴子主演で放送中の『グッド・ワイフ』(TBS系)は、米国の大ヒットドラマのリメークだ。
リメークが相次ぐ現象について、中山氏はこう分析。「人気コミックやベストセラー小説の原作をテレビドラマ化するのと同様、人気の高い海外ドラマからファンの取り込みを期待してのことだと思います。また、16年のWOWOWの『コールドケース~真実の扉~』、NHKの『スニッファー 嗅覚捜査官』は最近の海外ドラマのリメークの先駆けで、業界内や視聴者からの評価が高かったことも、現在のリメークラッシュのきっかけかもしれません」
今後はテレビ朝日が『24-TWENTY FOUR-』の日本版を放送することが決まっている。リメークラッシュはしばらく続きそうな気配で、本家の海外ドラマへの波及効果も期待できそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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