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パリに専門店、鎌倉でレッスン 花開くBENTO文化

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いま日本の弁当(BENTO)文化が世界中に浸透しているのをご存じだろうか。例えば、2018年11月にオープンした商業施設「二重橋スクエア」にある、世界的なパティシエ・ピエール・エルメが日本の優れた生産者の商品を紹介するコンセプトショップ「Made in ピエール・エルメ 丸の内」のカフェメニューに、なんと「BENTO」が登場した。弁当箱を思わせる仕切りのあるプレートに料理やデザートのマカロンがのっている。ピエール・エルメ氏の日本への愛情の表れが「BENTO」となったようだと、国内でも話題になったばかりだ。

日本のオフィス街のように、パリでも忙しい仕事の合間をぬってサクッとオフィスで食べられるヘルシーな日本式弁当が昼食アイテムとして注目されている。「リーマン・ショック後、ワインを飲みながらレストランでゆったりランチという人は少なくなり、外で買ってきたものを会社でサッと食べる人が増えていますね」と話すのは、パリで弁当店「BENTO&GO!」を営む立花剛さん。

パリの和食店や居酒屋で修業していた立花さんは、知人の日本人サラリーマンから「パリではランチ難民になることが多い」という話を聞き、2014年に弁当店を開業した。当時はフードトラックが出始めた頃。だがデリバリーを行っている飲食店はまだ少なく、立花さんはそこに商機を見て取り店頭販売とともに弁当の配達も始めた。

同店の弁当は6種類。テリヤキチキン、焼きザケ、ユズで風味をつけたタラの幽庵(あん)焼き、唐揚げ、ベジタリアンにも対応できる豆腐ハンバーグ、そしてシェフのきまぐれ弁当。どれも和風テイストのものをラインアップ。フランス人はご飯をサラダと同列の付け合わせと捉えているらしく、食べきれないことも考え、ご飯だけ別容器に入れ、食べ残しても持ち帰れるように工夫しているのがポイント。さらにどら焼きなどの和スイーツも追加料金プラスで用意して好評だ。

美食の街、パリといえども、誰もが新しい食にチャレンジしているわけではない。「オープン当初はBENTOの認知度がまだ低く、苦労しました。フランス人は意外に保守的なので、まずはよく知られているテリヤキと、普段から食べ慣れているサーモンを使った弁当から用意しました」と立花さん。

フランス人は白飯によくしょうゆをかけて食べていたが、立花さんとしては「本当の日本の味」を知ってもらいたかったので、白飯に赤しそふりかけをかけてみた。するとこれが大当たり。今では店で赤しそふりかけの別売りもしているという。

「BENTO&GO!」の弁当は外食するよりリーズナブル。弁当は12ユーロ(約1500円/1ユーロ=126円で換算の場合)からで、デリバリーなら1ユーロ(約126円)プラスになる。「パリでランチに外食したら15ユーロはかかりますから、配達込みで13ユーロならと納得いただいているようです。弁当は3個から配達しています」(立花さん)。

夜も営業しており、共働きの母親が子供たちに夕飯弁当を買っていく姿も。弁当は「ヘルシーなファストフード」として、安心して子供に食べさせられるという常連客もいるとか。

立花さんは2017年、ルーヴル美術館や高級店が立ち並ぶパリ1区に2号店を構えた。「和食だけでなく、ハンバーグやエビフライなど、日本の日常の食卓に並ぶ、洋食も含めたリアルな和食も弁当に取り入れていきたいですね。いつか和食と日本酒を楽しめる立ち飲み屋もパリでやるのが目標です」と立花さんは意気込む。

ひと昔前なら外国人が思い浮かべる和食といえば、すし、天ぷら、しゃぶしゃぶなどだった。しかし今ではラーメン、ギョーザ、お好み焼きなどを目当てに日本を訪れる外国人も多く、弁当(BENTO)が和食の一つだということを知っている外国人も少なくない。

ただその理解のされ方はさまざまで、「小さなおかずがたくさん箱に入っているもの」と懐石料理の延長ととらえる人もいれば、「ご飯をボールにしたもの」とおにぎりと混同している人も。一方、欧米では「栄養バランスのいいもの、子供向けのランチコンセプト」という見方もあり、「わが子のためにヘルシーなランチを」とBENTOレシピを紹介する米国人ブロガーもいる。

そんな中、外国人向けに和食の調理体験を提供しているのが「M&M Kamakura Bento Cooking」(神奈川・鎌倉)だ。

海外暮らしと飲食関連の仕事の経験がある松野玲子さんと峯島洋子さんは、外国人に人気の観光スポット、鎌倉に住むメリットを生かし、自宅で外国人向けの弁当教室を英語で開催している。「外国人向けの料理体験コースの多くはすしづくりなので、すし+弁当で差別化してみました。フランスでBENTOが流行っていると耳にしたのもきっかけの一つです」と松野さん。

参加者は「ターキーでラーメンスープをつくってみた」という米国の大学生や、アニメで見たBENTOを作りたいというイスラエル人兄弟など、国籍は様々だ。「でも一番多いのはフランスの方ですね。和食を習いたい!と本気モードでいらっしゃるし、弁当のこともよくご存じで、最近は自国のスーパーなどでも売っていると話していました」(松野さん)。小さな箱の中におかずがいくつも入っているので、一度にいろいろな料理が習えるというのも魅力の一つだ。

弁当のメニューはノリ巻き、卵焼き、タコウィンナー、鎌倉野菜のサラダなど。「和食を食べたい、すしを巻いてみたい、日本食のレパートリーを増やしたい」など、教室の利用目的は人それぞれだ。「メニューは外国人でも食べやすく、母国に帰っても作れるようにテリヤキチキン巻きなどにしています。キャラ弁とまではいきませんが、日本のKawaii文化を象徴するものとしてタコウィンナーも入れています。ゴマで目をつける作業は思った以上に楽しんでもらえています」と松野さん。

1日で何カ所も観光地を巡ることができる東京に比べ、鎌倉はまるまる1日を過ごすつもりでなければ来られない距離。そこで、まず鎌倉に着いたら午前中はこの弁当レッスンに参加し、午後は鎌倉大仏などの観光の合間に自分で作った弁当を食べてもらったらいいのではと思ったそうだ。

「それが弁当本来の楽しみ方でもありますし。今後はお客様からのリクエストもあり、自分で作った弁当を持ち、そのまま鎌倉の隠れスポットを訪ねるツアーも始める予定です」と松野さんたちは意気込む。

「弁当はアート」と話すのはLittle Miss Bentoという別名を持つ、シンガポール在住のフードアーティスト、シャーリー・ウォンさん。キャラ弁の技術を超えた、かわいらしい立体的な3D弁当がSNSで絶大な人気を誇っている。

実はシャーリーさん、世界弁当コンテストの優勝者でもある。日本好きが高じ、シンガポール人として初めてJSIA寿司インストクター協会の認定も受けている。「私にとって弁当づくりは、ただ料理を箱に詰めるだけではなく、見て、食べて楽しめるかわいいものであり、アートでもあります。そして家族への愛の証です」と誇らしげだ。

一方、1ページ目に登場した、BENTOをメニューに導入したピエール・エルメ氏が、京都に弁当専門店を営むフランス人がいると聞きつけ、オリジナル弁当箱をコラボ制作したこともあるのが弁当箱販売ショップ「Bento&co」(京都・河原町)。同店を営むBERTRANDの代表トマ・ベルトランさんは、フランスで出版されたレシピ本に弁当が載っていることをきっかけに、京都から海外へ、弁当箱を販売するビジネスで起業した。

「Bento&co」はパリの街角かと見まごうようなしゃれた店構え。色も形もデザインも多様な弁当箱が店内を埋め尽くす。まず目に入るのがオリジナルの「こけし弁当」。かわいらしい顔が描かれた2段の弁当箱の上には、帽子のようにおわんがのっている。男の子と女の子のほか、まねき猫やスターウォーズのキャラクターをデザインしたものもあって、バリエーションが豊富だ。海外からの要望に応え、ひとまわり大きいサイズのこけし弁当も作ったという。

「2008 年に起業した当時、海外で弁当箱を購入するためには限られた通販サイトを利用するしかありませんでした。でも弁当箱のニーズはあったので、これはビジネスになると思ったのです」とベルトラン氏。最初はフランス語のサイトしか作っていなかったが、現在は日本語と英語でも案内しており、ここ10年間に輸出先は100カ国に広がったという。

「海を渡った弁当箱が海外で重宝され始めています。モダンなデザインの松花堂はフランスのホテルやレストランで採用されています。料理の現場では弁当箱は仕切りがあって盛り付けやすく、一方、食事をする側にはフタを開ける楽しみがあります」とベルトラン氏。

毎日の食事にちょっとしたワクワク感や特別感を与える点が魅力なのが弁当箱であると語る。前述のシンガポールのシャーリー・ウォンさんが優勝した世界弁当コンテストも2009年から彼が開催しており、国内外で弁当文化の普及に尽くしている。

パリ、シンガポール、鎌倉…… 世界中でその魅力が注目されている日本の弁当。昔ながらの和食の魅力も、現代のKawaii文化も小さなひと箱に詰め込まれ、日本の食を語るならこれひとつで十分と言えそうな魅力を秘めている。

(GreenCreate)

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