乾燥と冷えが手荒れの原因 軽症ならセルフケアで改善
手荒れを手湿疹にしない(上)
指先がかさかさ、ちくちく、ひび割れてぱっくり。スキンケアしてもちっとも良くならない……。手はバリア機能が弱く、冬の乾燥や冷えが悪化のもとになる。でも、症状が軽いうちにケアし、手湿疹にしないことが重要だ。
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「そもそも手のひらには皮脂を分泌する皮脂腺が少ないため、バリア機能が弱い」と埼玉県済生会川口総合病院皮膚科の高山かおる主任部長は話す。物に触ったり、頻繁に手洗いをしたりすると、角層の水分が奪われ、手荒れの要因になる。実際、「手荒れ患者さんに最も多いのは頻繁に手を洗う人」と野村皮膚科医院の野村有子院長。「荒れる一番の要因は水仕事」と高山主任部長も強調する。
冬は冷えにも注意が必要だ。「手をぬれたままにしていると、水分が蒸発する際、皮膚の水分も失われる上、気化熱で冷え、荒れのもとに」と野村院長。もともと弱いバリア機能が、乾燥と気化熱による冷えで、ますます低下するため、刺激を受けやすくなりトラブルに至ってしまうのだ。
冬の手荒れを「仕方ない」と放置していると、皮膚は刺激を受け続け、赤みやかぶれ、かゆみなどが慢性化し、治療が必要になる。「手湿疹」へと悪化する恐れも。2018年夏、手湿疹の診療に関するガイドラインが、日本皮膚科学会から初めて出たが、「手荒れの段階でケアし、手湿疹にしないことが重要だと明記されている」(高山主任部長)。
手荒れの重症度の目安と適したケア法は、表のとおり。重症期以降は皮膚科の受診が勧められる。その手前ならセルフケアで改善が可能だ。
埼玉県済生会川口総合病院皮膚科(埼玉県川口市)主任部長。日本皮膚科学会皮膚科専門医。東京医科歯科大学医学系研究科博士課程修了後、同大学勤務を経て2018年より現職。
野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長。日本皮膚科学会皮膚科専門医。慶應義塾大学医学部皮膚科教室を経て1998年開業。手荒れのケア指導に力を入れており、メディアにも数多く登場。
(ライター:渡邉真由美、構成:日経ヘルス 中西奈美)
[日経ヘルス2019年2月号の記事を再構成]
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