豪雨や猛暑、その時何を守る? 自治体の計画手探り

気候変動は過去に例のない大雨を各地にもたらしている(18年7月、西日本豪雨に見舞われた岡山県倉敷市真備町)
気候変動は過去に例のない大雨を各地にもたらしている(18年7月、西日本豪雨に見舞われた岡山県倉敷市真備町)

異常気象の影響が今後さらに拡大するのを見越して、これに「適応」するために国や自治体の役割を定めた気候変動適応法が2018年12月に施行されました。「適応」とは将来、気温上昇に伴って地域に及ぶ影響を見極め、今から対策を取ることです。影響は地域ごとに異なるため自治体が主役になりますが、農産物から災害などまで幅広く、取り組みは手探りです。

「適応策」は二酸化炭素の排出を減らす温暖化の「緩和策」とともに気候変動対策の車の両輪です。国は適応策が必要な分野として(1)農林水産業(2)水環境・水資源(3)自然生態系(4)自然災害(5)健康(6)産業・経済活動(7)国民生活・都市生活――の7つを挙げています。法律は都道府県や市町村に適応計画の作成を努力義務とし、各自治体は影響を探る「地域気候変動適応センター」を置くことができます。

全国でいち早く適応センターを設けたのが、全国最高気温を記録した熊谷市のある埼玉県です。気候変動対策の先進自治体の一つで県環境科学国際センター内に適応センターを置き、温暖化の実態把握や将来の影響の予測をして県の施策に反映する材料を提供します。

埼玉県はこれまでも高温に耐えるイネの開発や大雨に備えた河川改修を進めていますが、こうした従来の施策と適応策はどう違うのか。県環境科学国際センターの嶋田知英氏は「河川改修は伊勢湾台風など過去の大雨が基準。適応策では将来の気温上昇でさらに雨量が増えるのを踏まえた対策の上積みが必要になる」と説明します。

ただ今の基準でも改修が済んでいる河川は6割程度で上積みには莫大な予算が必要になります。東京都の豪雨対策も長期目標は1時間100ミリへの対応ですが、当面の対策は75ミリです。このため防潮堤をつくる際、将来のかさ上げを想定し、基礎だけは将来の雨量に適応するようにする動きが出ています。

運河の街、オランダのロッテルダムは将来の海面上昇で一部が水没することを前提にした土地利用を進めています。都市計画をはじめ、農産物開発、健康福祉など各分野の施策に平時から適応策を盛り込むのが先進的な気候変動対策といえますが、そこまで浸透させるには首長の指導力が鍵を握ります。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
次のページ
向井人史・気候変動適応センター長、行木美弥・同副セ
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら