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ラーメン官僚 オススメの一杯

だしと素材だけで驚きの味 ラーメンは今や創作料理だ

2019/1/18

「中華蕎麦にし乃」の「中華そば」

ラーメンは「創作料理」である。私はラーメンをこよなく愛し、これまで1万4000杯超のラーメンを食べ、名店発掘をライフワークにしている官僚だ。今回から、「ラーメン」という食ジャンルを題材としたコラムの執筆をお任せいただくこととなった。記念すべき1回目に、創作料理としてのラーメンの魅力を語ることに決めた。

グルメガイドの世界的権威である『ミシュランガイド』にラーメン店が掲載されるようになり、もはやラーメンは創作料理の一分野と見なして差し支えないと信じる。ここで、現在のラーメンは、どれほど創作料理の世界に迫っているのかを示す好例として、2018年の上半期と下半期を代表する2軒の名店にご登場いただこう。

【本郷】中華蕎麦にし乃

時代に左右されない昔ながらの街並みが情感をそそる東京・本郷の路地裏に、1軒のラーメン店がたたずむ。その店の名は「中華蕎麦(そば)にし乃(の)」。18年2月17日にオープンした若き実力店だ。

以前は3種類あった麺のメニュー(写真)は今は「中華そば」と「山椒そば」の2種類に絞った

「歴史と文化の街・本郷にふさわしい、歳月の流れに翻弄されない普遍的な1杯。それこそ、同店が追い求める中華そばのイメージです」と語る水原店主。

手掛ける麺メニューは「中華そば」と「山椒(サンショウ)そば」。以前は3種類あったが、19年1月現在は2種類に絞り込んでいる。スープと麺は、各メニューで共通。スープは、大量のカタクチ・セグロ・白口煮干しに昆布・シイタケを加えただしをメインに、2種類のだし(動物系だしとアサリだし)を提供直前に注ぎ込んだトリプルスープ(Wスープの発展型)だ。

看板メニューは「中華そば」。レンゲを口元へと運んだ刹那に伝わる、明瞭かつ上質なうま味は我を忘れさせるほどだ。ここまで圧倒的なうま味は、スープ中の雑味を完全になくすことで初めて実現する。食べ手は、店主の創作技術の高さをまざまざと見せ付けられることになる。

スープに注ぐ仕上げ油は、加熱して液状となったラードにカツオ節を溶け込ませた、風味豊かな逸品。ラーメン界の名門・村上朝日製麺所のストレート麺を伝い、口元へと届けられるうま味の奔流に抗することができないだろう。

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