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ジャガーとオオアリクイが一触即発 意外な結末は?

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/1/18

ナショナルジオグラフィック日本版

ブラジルの熱帯性湿地「パンタナール」で撮影された映像だ。茂みからオオアリクイが姿を現し、湖のほとりで水を飲み始める。動物写真家のルーク・マッセー氏が撮影しようとカヌーに乗ってカメラを構える。すると、視界の隅に大型のオスのジャガーが入ってきた。

ジャガーの首の筋肉はがっちりとたくましく、足はボクシングのグローブよりも大きい。ジャガーはオオアリクイにそっと近づき、その後ろでかがみ込む。そして飛びかかるかと思ったその瞬間、なぜかジャガーは動きを止めた。

世界中でネコ科動物の写真を撮っているマッセー氏にとって、2017年9月に見たこの光景は、それまで野生の世界で目撃してきたことのなかでも、特に奇妙なものだったという。

「ジャガーが後ろから近寄って来るのが目に入ったとき、オオアリクイはまったく気づいておらず、無防備でした。ジャガーが狩りを行うシーンか、迫力ある戦闘シーンを見ることができるとしか思いませんでした。ジャガーが寝そべってただ見ているなんて、想像もしませんでした」

しかし、ネコ科動物の保護団体パンセラが統括しているパンタナール・ジャガー・プロジェクトの研究者フェルナンド・ロドリゴ・トルタト氏にとっては、驚くような話ではないという。「オオアリクイはジャガーのエサになることもありますが、パンタナールでは頻繁に起こることではありません。確率で言えば、多くて5%です」。トルタト氏は、電子メールでそう答えている。

広大な湿原に暮らすジャガーは、カイマン(ワニの一種)、カピバラ、ペッカリー(ヘソイノシシ)を好むという。「このジャガーは、お腹がいっぱいだったのかもしれません。きっとアリクイに興味があっただけなのでしょう」

野生動物の鑑賞ツアーを提供している会社サウスワイルドのCEOで、保護活動家でもあるチャールズ・マン氏は、別の切り口からこの奇妙な出来事を説明する。「ジャガーが襲いかからない唯一の理由は、オオアリクイの爪です」

オオアリクイには、実は秘密兵器がある。長さ10センチほどの鋭い爪だ。通常はアリ塚を壊すために使うものだが、捕食者にとっても警戒すべき武器だ。

「湖でジャガーがアリクイを狙ったとすれば、アリクイは鋭く強力な爪を振りかざして戦ったかもしれません。そうなれば、ジャガーも深い傷を負うかもしれず、死に至ることさえあるかもしれません」とマン氏。

オオアリクイが人を殺した事実もある。2007年には、アルゼンチンの動物園でオオアリクイを飼育していた係員がこの爪に襲われ、亡くなっている。野生環境でも、2人のハンターが同じ理由で命を失っている。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年3月12日付記事を再構成]

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