ジャガーとの対決 オオカワウソが圧勝した理由
ブラジル、パンタナール大湿原。2頭のジャガーが水を飲みに川へと降りると、オオカワウソと出くわした。しばらくにらみ合いが続く。2回の対決で、圧倒的な勝利をおさめたのはオオカワウソのほうだった。どうやってジャガーを撃退したのか、ぜひ映像で確かめてほしい。
オオカワウソは、食物連鎖の頂点に君臨する捕食者だ。撮影されたパンタナールでは「川のジャガー」と呼ばれる。実際、今回の対決では、オオカワウソが大声を出して素速く動いたため、本物のジャガーはいったんすごすごと引き返した。
「この2頭の母親のジャガーは、ワニの一種であるカイマンを狩るほどの優秀なハンターですが、オオカワウソに立ち向かった記録はありません」と野生のネコ科動物の保護団体「パンセラ」でジャガー・プログラムの活動責任者を務めるラファエル・ホーゲステイン氏はブログに記している。
ジャガーとオオカワウソは好敵手だが、ジャガーがオオカワウソを殺した記録はないわけではない。2012年、ブラジルのアマゾンで、無線器を埋め込んだ首輪を付けられたオオカワウソが倒木の幹の下で寝ていたところを、1頭のジャガーが仕留めた。この論文の著者の結論によると、オオカワウソが1頭だけで陸上にいたことが殺された一因だったのかもしれない。
「オオカワウソは水中にとても適応していて、水中ならジャガーから逃れられることを知っています」と、パンセラの南米北部のプログラム責任者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるエステバン・パジャン氏は話す。「実際、ジャガーがオオカワウソを捕まえられる唯一の方法は、奇襲でしょう」
パンタナール・ジャガー・キャンプの責任者アイルトン・ララ氏も、「水中では、オオカワウソの方がジャガーよりもはるかに速い」と、経験から語った。
オオカワウソがジャガーを追い払ったこの映像の数週間前のこと、サン・ロレンソ川沿いでも、オオカワウソを捕まえようとする1頭のジャガーが撮影された。オオカワウソは群れで大声を出して、ジャガーを取り囲み、水をはねかけて威嚇する。「ジャガーはずっと尻尾を振っています。これは怖がっていることを示しています」とララ氏は語った。
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2018年5月2日付記事を再構成]
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