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過疎・ひとり親支援… 女性首長の挑戦、地域に刺激

2019/1/8

■ひとり親の家庭同士の仲間作り促す 東京都足立区長・近藤弥生さん

女性が持つ可能性を引き出す施策を進めたいと語る近藤さん(東京都足立区)

東京都足立区長の近藤弥生さん(59)が力を入れるのが、女性のひとり親家庭の支援だ。子育ては、家族に任せるのではなく社会全体が責任を持って進めていくものだという強い信念を持つ。

「小顔になれる? エステティシャンに、リンパマッサージのレクチャーをしてもらいましょう」「免疫力UPの体づくりと豆まきポシェット作り」。区のホームページなどで公開している「サロン豆の木」のイベント案内には、女性の関心を引くテーマが並ぶ。毎月3回、土曜日に催し、子どもを連れて気楽に足を運んでもらうのが狙いだ。毎回10~20の家族が参加する。

イベントの後半には参加者同士のおしゃべりタイムも実施する。孤立感やストレスを減らすほか、ひとり親家庭同士の仲間作りを促す。サロン参加後に改めて相談の電話がかかってくることもある。そこで生活・子育てに関する不安や悩みなどを聞き取り、区がフォローアップする。

近藤さんは大学卒業後、警視庁に就職。留置施設の勤務では4日に1度の泊まり業務についた経験もある。1980年代の当時、子どもを夕方から預けられる保育施設が少なく、家族の協力が得られないと働き続けられない職場環境だった。警察官としてエースとなるような女性が結局、挫折してやめていった。「女性がどうやったら生きづらさを解消できるのか」。政治家を目指す原点となった。

税理士を経て97年から都議、07年から区長と地方自治のキャリアは長い。優先して取り組んだのが保育施設の整備。区長になって任期中に4600人以上の子どもの受け入れ数を増やした。整備を進める中、ひとり親世帯の実情も見えてくる。母子世帯の約8割が就労しているが、正規雇用は約3割にとどまる。年収も平均200万円未満と厳しい生活環境もわかった。19年度は正規雇用を増やすための就労支援に力を入れる。

「女性が持つ可能性をもっと引き出せるような社会にしたい」。ひとり親家庭が集まれる居場所を設け、可能な限り生活支援策を講じ、子どもが心身ともに成長できるよう温かく手をさしのべる。

■市区町村長の女性比率は1.6%、キャリア積める環境整備を ~取材を終えて~

総務省の調査(17年12月31日時点)によると全国1733人の市区町村長のうち、女性の市区長は21人、町長は6人、村長はゼロだ。全体の1.6%程度にすぎない。

首長を目指す上で、国や地方の議員としてキャリアを積むのはアドバンテージになる。女性議員を増やすため、男女の候補者数を均等にするよう政党に促す「政治分野における男女共同参画推進法」が18年に成立した。19年は統一地方選や参院選もあり、取り組みの成果が問われる。

ただ、女性が議員としてキャリアを積んでいくには難しい状況があるのも確か。地方議会で産休や育休の取り扱いが明文化されているところもまだ一部だ。意欲や能力がある女性はいるが、発揮できる環境が整っていかないと、手を挙げる女性は増えない。安倍晋三首相は「20年までに指導的地位の女性割合を全体の3割にする」との数値目標を掲げる。政治の分野は遅れが目立つだけに環境整備が急務だ。

(シニア・エディター 近藤英次)

[日本経済新聞朝刊2019年1月7日付]

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