佐藤健が考える役者の力 次は全く違うフィールドに

日経エンタテインメント!

近年、映画での活躍が目立っていた佐藤健。もとより得意なアクションものに加え、2017年は、昏睡状態に陥った妻の回復を信じる夫役を演じた『8年越しの花嫁 奇跡の実話』で第41回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞するなど、演技そのものの評価も着実に上げてきた。

1989年生まれ、埼玉県出身。代表作に映画『るろうに剣心』シリーズ、ドラマ『天皇の料理番』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』など。19年2月に『ラストエンペラー』のジェレミー・トーマスがプロデュースを務める主演映画『サムライマラソン』が待機(写真:藤本和史)

そんな佐藤にとって18年は、今までで最も充実し、かつ次への布石を感じさせる1年となった。4月から半年間、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』に主人公・鈴愛すずめ(永野芽郁)の幼なじみの萩尾律役で出演。朝ドラ初挑戦で高校生から40歳までを演じ、ヒロインに寄りそう理系男子ぶりから「子どもに律と名付ける」という声が続出するなど半ば社会現象となり、平均視聴率21%超えの番組の人気を支えた。

その一方で、7月期の連続ドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)では、何をやっても長続きしないダメ男・麦田章役を好演。前・後半の2章立ての同作は後半から視聴率がうなぎ上りとなり、最終回で平均視聴率19%台へジャンプアップ。同時期に全く真逆の役どころで結果を残し、大きな注目を集めることとなった。

これまでは主演が主戦場だった佐藤にとって趣が異なるが、どのような考えで挑んでいたのか。

助演だからできたこと

「今まで僕は、同時期に作品と作品の間を縫って演じる、ということをほとんどやったことがなかったんです。今回、それをやってみようと踏み出せたのは、助演だからということが大きかった。今までは主演をやらせていただくことが多かったので、作品の掛け持ちなんて絶対にやらない!みたいに頑固に思っているところはありました。芝居が混乱するんじゃないかという不安もあったし。

でも、最近になって、『この時期はこうしよう』とプランニングするようになってきたんです。25歳ぐらいまでは必死で、いただいた役にいかに全力で取り組むかの連続だったんですけど、僕も経験を積んで視野が広がったというか、余裕が出たんだと思います。

それに、年齢のこともあって。18年で僕は20代が終わる。だから『露出を増やしたい』と考えた。若さって一度失ったら、どれだけお金を積んでも取り戻せない。失ってしまう役もある──例えば『いぬやしき』では一生懸命若作りして高校生を演じましたけど、『億男』では子持ちのパパ役で、最初どっちつかずになってしまい、難しかったと言うか…『しくった!』と思ったりもして(笑)。

ただ、ありがたいことに俳優業は自分の今を残していける、だから『作品数を増やそう』と。ちょうどそのときに、朝ドラのオファーをいただけて。もともと脚本家の北川(悦吏子)さんの作品は好きだったし、企画書を見たときに鈴愛と律の物語が素敵で、しかも律は僕のあて書きで、しっかりメッセージを受け取れたと感じました。まさか自分が朝ドラに出るなんて思わなかったけれど、いいタイミングだったんです。

『義母と娘のブルース』は主演のオファーではなくて。でも、露出を増やしたいと思っていたから、『これなら朝ドラ中にやれるかな』と。それに、『義母と娘のブルース』は『天皇の料理番』などでずっとお世話になってきたチームからの依頼だったので、作品自体、確実に面白くなるという信頼感もあった。それでチャレンジしようと決めました」

その反響や感想を尋ねると、「私生活には何も影響なかったですよ。(作品の同時進行は)今後はアリかな、極力しないけど」といたずらっぽく笑う。だが、実際に朝ドラに出たことで得た手応えは、かなり大きなものだったようだ。

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