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本物の風邪は受診の必要なし まず3症状をチェック

風邪の「真」常識(1)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

今までに1回も風邪をひいたことがないという人はいないだろう。風邪はありふれた病気の一つであり、多くは数日から1週間程度で自然に治ってしまう。一方で「汗をかくと風邪が治る」「風邪は抗生物質で治る」など、間違った認識を持っている人も少なくない。そこで風邪に詳しい総合診療医・感染症医で北海道科学大学薬学部客員教授の岸田直樹さんに、誰もが知っておくべき風邪にまつわる正しい知識を3回にわたって解説してもらう。第1回は「風邪かな?」と思ったときの正しい対処法だ。

風邪は誰もがかかった経験のあるありふれた病気だ。毎年かかるという人も珍しくはない。しかし、よく知られた風邪がどういう病気なのか、きちんと説明することができるだろうか。

岸田さんは「自然に良くなる上気道のウイルス感染症」と風邪を定義する。

上気道とは気道の上の部分に当たる鼻、のどのこと。ここにウイルスが感染することで風邪を発症する。「自然に良くなる」病気であることに注目してほしい。薬などを飲まなくても、放っておいてもやがて治ってしまうことを意味する。つまり、本当に風邪であれば、わざわざ医療機関を受診する必要はないわけだ。

風邪のとき、「病院に行っても意味がない」

日本人の風邪にまつわる誤解はたくさんあるが、中でも一番は「病院に行ったほうがいいと思っている」ことだと岸田さんは指摘する。

「ライノウイルスやコロナウイルスをはじめ、風邪の原因となるウイルスは200種類以上あります。そのすべてのウイルスに効く薬はありませんから、本当の意味で"風邪を治す薬"は存在しません。もともと自然に治る病気なので、病院やクリニックに行く必要もありません。むしろ体調が悪い中で何時間も待たされるだけでなく、他の患者さんから別の感染症をうつされるリスクがあります」

一般に風邪薬と呼ばれる薬は対症療法の薬。「熱を下げる」「鼻水を止める」などの症状を抑える作用があるだけで、風邪の原因であるウイルスを殺すわけではない。抗生物質(抗菌薬)は細菌を殺すが、ウイルスには効果が全くない。症状がつらいときは対症療法の薬を飲むのもいいが、それなら薬局やドラッグストアで市販薬を買えば済む、というわけだ。

まずは風邪の3症状をチェックする

ただし、健康な大人が医療機関を受診する必要がないのは"本物の風邪"の場合だ。次回に詳しく触れるが、風邪のような症状であっても実は深刻な病気だったということもある。風邪がきっかけで肺炎などを起こすこともある。いわゆる「風邪をこじらせる」という現象で、風邪のウイルスによってダメージを受けて免疫力が落ち細菌感染するわけだ。

では、風邪かそうでないかをどうすれば判断できるのだろう。

岸田さんは「3症状チェック」を挙げる。3症状とは「咳(せき)」「鼻水」「のどの痛み(嚥下時痛)」だ。どの症状が強いかはそのときどきで変わることがあるが、本物の風邪であれば多かれ少なかれ、この3症状が表れるという。

「最初は一つの症状しか出ないこともありますが、48時間以内にこの3症状がそろってくれば風邪と考えていいでしょう。特に鼻水がメインの症状の場合、命に関わる重大な病気ということはほとんどありません」(岸田さん)

風邪への対処法~汗をかいても治るわけではない

では、咳、鼻水、のどの痛みがあり、風邪の可能性が高いとき、どう対処するべきだろう。前述したように、市販薬であれ処方薬であれ、風邪には症状を抑える対症療法の薬しかない。また、本物の風邪であれば医療機関にも行く必要はない。すると――おとなしく布団に入っていればいいのだろうか。

症状が軽ければ「必ずしも寝込む必要はありません」と岸田さんは話す。

「こじらせないようにするため体に負担をかけないよう注意すべきですが、マスクをして、風邪を広めないように注意しながら仕事をしたって構いません。ただし、熱が38℃近くある、だるい、といったときは仕事を休んで寝ているほうがいいでしょう。症状が重い場合、ウイルスを大量にばらまくことになるので、人にうつさないためにも外出は控えてください」

風邪をひいたとき、普段より布団を多くして「汗をかくと治る」と思っている人も少なくないだろう。眠っているとき汗をかくと、熱が下がり体調が良くなった気もする。しかし、これは岸田さんによると気のせいだ。汗をかくと気化熱によって体温が下がるのは確かだが、熱が下がったからといってウイルスが死ぬわけではない。

ただし、「風邪のように根本から治す薬がない病気では症状緩和にプラセボ(偽薬)効果は大きいので、一概に否定はしません」と岸田さん。プラセボとは、何の効果もない食品などでも「病気に効く」と信じて飲むと薬のような効果を発揮すること。ガンガンに暖房をかけるなど、極端なことさえしなければ、布団の中で汗をかいても問題ないという。「もちろん、無理に汗をガンガンかかせる必要はないですが、寒いときには布団をかけ、熱が上がって体が熱くなったらタオルケットにするなどでよいでしょう」(岸田さん)

風邪に効くサプリメントはある?

食欲がなければ無理に食事をしなくてもいいが、水分補給は心がけよう。風邪で熱が出ているときは、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)といって、熱に伴い汗として出てくる水分が多くなるので、多めに水分を取るようにしたい。水分を取らないと腎臓に負担がかかり、腎不全の危険も出てくるという。

ただし、カフェインには利尿作用があるので、コーヒーや緑茶を大量に飲むと脱水を進めてしまう。

「もっとも、毎日何杯もコーヒーを飲んでいる人が急にやめると、カフェインの離脱症状で頭痛が起こるなど逆効果になることもあります。大量に飲むのは良くありませんが、完全にやめてしまうのも注意が必要です。1日に2~3杯ならあまり気にする必要はないでしょう。アルコールは分解に水が使われるので脱水になりやすいうえ、眠りの質も悪くします。もっとも、タマゴ酒のように少量のアルコールであれば、体を温める効果もあっていいと思います。大事なのは風邪だからといって"極端な行動を取らない"ことです」(岸田さん)

風邪には有効な根治薬が存在しないが、一方で亜鉛やビタミンCなどのサプリメントが風邪に効くという話もときどき耳にする。しかし、これについても岸田さんは否定的だ。

「特定のビタミンや栄養素で最も研究が多いのはビタミンCですが、いまだに明確な質の高いエビデンス(科学的根拠)は出ていません。プラセボ効果はあると思いますが、私が患者さんに勧めることはありませんね」

基本は「おとなしく寝ている」こと

以下、岸田さんによる「風邪の対処法」をまとめておこう。

まずは、風邪の3症状である「咳」「鼻水」「のどの痛み」をチェックしよう。この3つの症状がそろっていれば、ほぼ風邪だと考えていい。熱があって起きているのがつらければ、同僚にうつさないためにも会社を休んで寝ていよう。言うまでもなく、「人にうつすと早く治る」というのも迷信にすぎない。

室温は快適な気温に。寒ければ暖かくするべきだが、汗をかくほど室温を上げても風邪が早く治るわけではない。

食事は消化に良いものを心がけていつも通りでいいし、食欲がなければ無理に食べる必要はない。ただし、熱がある場合、水分補給は忘れないようにしたい。コーヒーやアルコールは控えめにしよう。

のどの粘膜を刺激するので、タバコも吸わないに越したことはない。

入浴は「体温をワンランク上げ、だるさが強くなることもあるので長風呂はいけませんが、短時間の入浴やシャワーなら構いません。むしろ汗だくのままでいると不潔ですので、調子の良いときにシャワーで汗を流しましょう」と岸田さんは話す。

あとは、おとなしく寝ているだけでいい。通常の風邪なら2~3日程度で自然に治るはずだ。

本当に風邪ならこれで大丈夫だが、問題は「風邪だと思っていたら違う病気だった」場合だろう。そこで次回は「医療機関を受診するべき症状」について説明しよう。

(ライター 伊藤和弘)

岸田直樹さん
総合診療医、感染症医、感染症コンサルタント、公衆衛生修士(MPH)、北海道科学大学薬学部客員教授、一般社団法人Sapporo Medical Academy代表理事。2002年旭川医科大学卒業。手稲渓仁会病院総合内科・感染症科チーフ兼感染対策室長などを経て14年よりSapporo Medical Academy代表理事。日本内科学会総合内科専門医。日本感染症学会専門医・指導医。著書に『誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた 重篤な疾患を見極める!』(医学書院)など。

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