――では、スーツにおける正しいサイズを教えてください。まずポイントとなるのは……。
「何より、着丈!」
――選ぶ際の目安は。
「真っすぐに立って、手を伸ばす。指の第2関節あたりにあたる長さがいいでしょう。若いころにそう習ったものですが、今では知らない人が多いかもね」
「次に袖の長さです。今は袖を詰めない人が多いのですが、ワイシャツがでる袖の長さにしないといけません。そして、シャツは1.5センチメートルは出るべきです。襟もワイシャツの襟が出ることが肝心です。ただ、シャツの襟はデザイン上、襟高になっているものなどがあるので、厳格な長さよりも、まず出すことを意識すればいいでしょう」
――上着ではウエスト周りも気になります。だぼっとしていてもだらしなく、ちょうどよいバランスが難しそうです。
「ボタンを留めてみて、握り拳1つ入るのが胴回りの目安。あえて教科書的にいうとそうなります。握り拳1つ入るというと少々大きく感じるかもしれませんね。要は、すっとボタンがかかる程度にゆったりしているというのがいいのです。また、僕のように上着のボタンをいつも留めない人は、握り拳1つ入らなくてもいいでしょう」
――こちらは、水原紳行さん(44)です。独立されて10年の司法書士で、元ラガーマン。現役時代の体重は90キログラムほど。現在は当時に比べて15キロ減だそうです。
「水原さんはスタイルが良く手が長いので、裾は第2関節よりもちょっと短めですが、非常にバランスがいいですね。みなさんにすすめるとしたら、このくらいの着丈がいいでしょうね。袖から出ているシャツは1センチほどとちょっと足りていません。シャツの袖がもう少し長く出てもいいでしょう」
「後ろを見てみましょう。肩幅がいいね。スーツは肩で着るというんです。首から肩、胸のあたりがきれいに見えるなら、美しい着こなしができていることになります。すっきりしたサイズにみえて、ほらね、握り拳1つが入る」