子ども用や刃折り不要も登場 進化するカッターナイフ納富廉邦のステーショナリー進化形

この製品が優れているのは、子ども用として、それなりの安全性は確保しつつも「基本的に刃物は危険なものであり、その扱いには注意が必要」ということと「カッターナイフは刃を折ることで切れ味が回復する」ことを、同時に分かってもらおうとしている点だろう。

刃全体がプラスチックで覆われていて、本体にセットした後、まず1回、先端を刃折り器で折ることで、刃が露出し使えるようになるという設計がうまい。刃の露出も、刃先がほんの少し出るだけの最小限の露出に留められている。これで安全性はある程度確保しつつ、刃物であり使い方を誤るとけがしてしまうということも学ぶことができるわけだ。

キッターの刃は、まず最初に折らないと使えない。付属の折り器で折ることで刃が露出する。ただし、刃は紙を切るのに必要最小限しか露出しない設計だ

もちろん、刃先の露出が少ないため、普通紙2枚重ねくらいまでしか切ることはできないが、子どもの工作用としては、十分の能力だ。刃折り器が本体のスタンドとして使えるようになっているので、常に刃折り器とナイフはセットであるという認識も持ってもらえる。カッターナイフの正しい使い方を覚えるのに、本当に良くできた製品なのだ。

もちろん、刃物であるから、使用時は保護者と一緒に使うのも前提。「放っておいても安全」というタイプの製品ではないというのも新しい。

刃を折らないカッターも登場

その一方で、プラスの「オランテ」のような、刃を折らずに使うカッターナイフも登場している。

プラス「オランテ」。実勢価格362円。カッターナイフ的な使い勝手を実現しながら、刃を折らなくても切れ味がそれなりに継続するように設計されている

刃厚0.5mmと、大型刃と同じ厚みの刃を使い、サビにくいステンレス刃で、さらに刃の表面を凸凹加工しフッ素加工も施すなどして、接着テープなどを切った時でも刃にべた付きが残らないように設計。それらの合わせ技で、刃自体を長持ちさせている。それでも切れ味が鈍った時は、刃自体を交換するというコンセプトの製品なのだ。しかも、刃の交換にも、刃に直接触れる必要がない。カッターナイフの「怖い」要素を、徹底的に排除した製品といえるだろう。

このように、オランテの刃には折れ線が付いていない。切れなくなったら刃を交換するのだ

もちろん、そのために、折れば切れ味が回復するというカッターナイフ最大のメリットは捨てることになるのだが、これだけ折らない人が多い現状だと、この考え方も一つの正解だと思われる。実際、この「オランテ」、デザインや設計など、本当に良くできているのだ。

刃を折らないで使うカッターナイフとしては、オルファの「キリヌーク」も紹介しておきたい。

オルファ「キリヌーク」実勢価格750円。うまい人しかできなかった「雑誌の一番上のページだけ切り抜く」を、不器用な人でもできるようにした画期的なナイフ

これは、いわゆる「一枚切り専用」のカッターナイフ。カッターナイフを使うのがうまい人は、雑誌の1ページだけを、下のページを切らずにうまく切り抜いたりするけれど、あれを素人でもできるようにしてくれるナイフなのだ。

内蔵されたバネが力を一定に保ってくれるため、うっかり力を入れ過ぎても下の紙を切ることがない。また、バネの力を調整することで、切りたい雑誌や新聞紙などの紙の厚みが違うものでも、きちんと1枚だけ切ることができるのだ。

刃は、ほんの少ししか露出せず。しかも力が入り過ぎると刃が引っ込む構造。紙の厚さに合わせてスライダーで調整すると、さらに精度が上がる

刃を折ることはできないが、最初から替え刃が2本内蔵されている。不器用な筆者のような者には、とてもありがたい製品なのだ。

二つ折りにできるカッターマット

最後に、カッターナイフを使うなら、同時に用意しておきたいものも紹介しておく。当たり前だが、カッターマットだ。

オルファ「ふたつ折りカッターマットA3」実勢価格2000円。カッターナイフはカッターマットと組み合わせて使うのが常識。実際、とても切りやすくなるから試してほしい

カッターマットの上で切った時のカッターナイフの扱いやすさはちょっと感動的でもあるのだが、「カッターナイフをあまり使いこなせていない」と思っている人ほどカッターマットを使っていない。

最近はオルファの「ふたつ折りカッターマットA3」のように、折りたたんでコンパクトに片づけられて、開いた時に、折り目をほぼ感じさせない優秀な製品も出ている。この際、ぜひ用意しておいてもらいたい。

開くと全く線が見えないのに、簡単に二つ折りにしてA4サイズで収納できる。これなら場所も取らないからオフィスにぜひ常備を

カッターナイフは刃を折る、カッターマットの上で使う、この2つは、カッターナイフを使うに当たっての基本中の基本。これを守って、日本最大のイノベーションの一つであるカッターナイフを十分に使いこなしてほしい。

納富廉邦
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

納富廉邦のステーショナリー進化形バックナンバー
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進化したキーホルダー 片手で開け閉め、コイン収納も
仕事の筆記具変えた、本当に芯が折れないシャープペン

(写真 渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)

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