朝原宣治さん 疲れにくい体をつくるリカバリー方法元陸上五輪メダリストに聞く(下)

日経Gooday

自分の中に、「自分にとってのこの状態が気持ちいい」というゾーンがあって、そのゾーンを越えないように、現役中はもちろん、今もそれを心がけています。もう習慣になっているといっていいです。

例えば、脂っこいものを食べたら、次の日は極力脂っこいものは食べないし、昼に甘いお菓子を食べれば夜は食べない。飲み会の翌日はアルコールを控える。当たり前のことのようですが、食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、自分の中の「気持ち悪い」ゾーンに突入してしまうからです。こんなふうに自分の感覚を大事にしているから、現役を引退しても僕は太らないんだと思うし、引退してから10年間、トレーニングをしていなかったのに、短期間の練習で何とか世界マスターズ陸上にチャレンジできたのもそのおかげだと思うんです。

歩き方一つにしても、体の中心部にある大きな筋肉を動かして歩かないと気持ちが悪いんです。つまり、膝から下といった体の末端を前に出して歩くのではなく、骨盤や尻、背筋といった大きな筋肉を動かして歩いています。特に股関節は重視していて、階段は大股開きで一段抜かしで上ったり、ストレッチをするときも股関節の柔軟性アップを意識していたりしますね。

人の歩き方を観察するのが好きなのですが、膝から下など体の末端だけを前に出して歩いている人を見ると、「あー、気持ちが悪いな」と思ってしまいます(笑)。その「気持ち悪い」という感覚がマヒしたり、なくなってしまったら、背中が曲がったり、体のバランスが崩れたり、体形や体重が大きく変化したりするのだろうなと思いますね。

「T字バランス」で体幹トレーニング

――体の中心部を鍛えるようなお勧めのトレーニング法があったら教えてください。

腹筋は、年を取っても続けるといいと思うんですよね。同じパターンの腹筋でなく、体をねじっていろんな角度から鍛えるなど、さまざまなバリエーションの腹筋をやるといいと思います。

家で毎日、手軽に体幹を鍛えられる運動として、「T字バランス」はお勧めです。僕がやるのは通常のT字バランスとは少し異なり、軸となる右脚はまっすぐ伸ばしたまま上体を前に倒して、左脚は地面と平行になるように後方に伸ばします。右腕は顔の横を地面と平行になるように伸ばしたまま、10秒ほどキープ。そして、軸脚を替えて反対も同様のポーズを取ります。

お勧めの体幹トレーニング「T字バランス」を実際にやってもらった。

ポイントは、前方に伸ばした手の指先から後方に伸ばした左脚のつま先が、地面と平行に一直線になるようにし、軸脚の膝が曲がらないようにすること。その際、骨盤を前傾させて地面と平行になるように意識するといいでしょう。最初はふらつくでしょうが、腹筋や背筋、腰回りといった体幹が鍛えられ、バランス感覚も養われます。家の中で簡単にできるお勧めの体幹トレーニングです。

(文 高島三幸、写真 水野浩志)

朝原宣治さん
1972年兵庫県生まれ。高校時代から陸上競技に本格的に取り組み、走り幅跳び選手としてインターハイ優勝。大学では国体100mで10秒19の日本記録樹立。同志社大学卒業後、大阪ガスに入社、ドイツへ陸上留学。2008年北京オリンピックの男子4×100mリレーで銅メダル獲得。引退後、2010年に陸上競技クラブ「NOBY T&F CLUB」を設立。2018年9月、スペイン・マラガで開催された世界マスターズ陸上競技選手権大会・M45部門・男子4×100mリレーで金メダルを獲得。

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