ヘルスUP

日経Gooday 30+

世界マスターズV 朝原宣治さん46歳で復活できたワケ 元陸上五輪メダリストに聞く(上)

2018/10/29

世界マスターズ陸上で46歳とは思えぬ走りを見せた元陸上五輪メダリストの朝原宣治さん

2018年9月にスペイン・マラガで開催された、35歳以上のアスリートが5歳ごとのクラスに分かれて競う陸上競技選手権「世界マスターズ陸上」。その男子4×100mリレーに、陸上競技十種競技種目の元日本チャンピオンでタレントの武井壮さんらとチームを組んで出場し、見事金メダルを獲得した朝原宣治さん。46歳とは思えぬ走りを見せてくれた朝原さんに、自身の健康管理術などについて3回にわたって聞く。今回は、世界マスターズ陸上への出場までの道のりについて。

――46歳でレースに出場されたこと自体に驚いたのですが、2008年の北京オリンピック男子4×100mリレーで男子トラック種目初のメダルを獲得し引退された後も、トレーニングを継続されていたのですか?

いえ。この10年間走るためのトレーニングはほとんどしていません。大阪ガスの実業団に所属する選手や、私が運営している陸上教室 「NOBY T&F CLUB」に通う子供たちに指導する際に手本を見せられる程度の体づくりはしていましたが、指導時間そのものが運動時間と言ってもいいほど、体は動かしていませんでした。

2018年9月、「世界マスターズ陸上」の男子4×100mリレーで金メダルを獲得。左から朝原宣治さん、譜久里武さん、佐藤政志さん、武井壮さん。写真提供=朝原さん

――現役時代から体形が変わっていないように見えます。

おなかが出るのが嫌なので、風呂上がりに足を上げながら下腹を鍛えるような腹筋をしたり、バランスボールでストレッチ運動などをすることが日課になっています。ジョギングといった有酸素運動はあまり好きではないのでしません。その代わり、社内ではエレベーターを極力使わず、5階にある部署まで階段で移動しています。

――食事面で気をつけていることはありますか?

引退後は食べ物にさほどこだわりはなく、おなかがすかないとあまり食べません。もちろん、おなかが減ったらたくさん食べますが、腹八分に抑えるように心がけています。会食が多いので、「今日はたくさん食べたり飲んだりしたから、明日は食事や酒の量をセーブしよう」とか、「間食にコーヒーとフィナンシェを食べたから、夜は甘いものは控えよう」というふうに、常に元に戻そうと意識しています。

現役時代と比べると体重は減りましたが、単純に筋肉が落ちたためです。ですから今回のチャレンジにおいて、筋肉が減った状態でスピードを上げて走ることは、ケガをしそうで怖かったですね。

■ハムストリングなどの筋量の低下を改めて知る

――それでも、世界マスターズ陸上に出場しようと思ったきっかけは何だったのですか?

2018年2月、沖縄での実業団合宿へに帯同したとき、共通の知人を通じた飲み会で、譜久里武さんとお会いしました。彼は40歳以上の日本人・アジア人で、初めて100mを10秒台で走ったマスターズ界のレジェンド。その席で、世界マスターズ陸上の4×100mリレーのM45(45~49歳)の部門に出場し、武井くんらとともに世界記録(これまでの世界記録は43秒42)を狙わないかとお誘いを受けました。お酒が入って気分が良くなっていた私は、その場の勢いで同意してしまい、最後は「やろーぜー!」と肩を組んでいい気分になって別れました(笑)。

翌日、冷静になった私は、「昨日はノリで出場すると言ってしまったけれど、少し考えさせてください。走れるような体に戻るめどがつけば連絡します」と譜久里さんにLINEを送りました。実際、走れるようになるかも分からなかったし、走れるような感触が戻ったとしても、レースに出場するには、最低2カ月のトレーニングは必要だろうと考えました。大会の開催が9月だったので、すぐに返事しなくてもいいだろうという思いもあって。

ところがその1週間後、「どうですか?」「動き出しましたか?」と譜久里さんからLINEが届きました(笑)。もちろんまだ何も練習していませんでしたし、結局、風邪を引いて体調を崩したりして、3月ぐらいまでほとんど運動できなかったんです。

――本格的に練習しようと思ったのはいつですか?

5月です。武井くんが「チャレンジするなら、そろそろ世間に発表しないと」と言うので(笑)。復帰できるかどうか自分でも確信を持てないまま、見切り発車でチャレンジすることを決めました。

ヘルスUP 新着記事

ALL CHANNEL