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AKB48の大家志津香 12年目でも卒業しない理由

日経エンタテインメント!

2018/11/22

「普通なら『ここで爪跡を残さなきゃ』って気負うところなんですけど、こっちは辞めようと思ってるから、怖いものがなくて(笑)。いい意味で開き直って、思うがままにナチュラルに返していったら、そのチンプンカンプンさが面白いと思ってもらえたんです。『週刊AKB48』のときもそうだったけど、私、タイミングだけは持ってるんですよ。ネガティブの極致に行くと、ポーンって跳ねる何かに出合える。運はあるのかなと思います。

ただ、自分が番組でウケるのは何も考えずに発言した時なので、実感がないんですよね。面白いことを言おうと意識した時は絶対スベる(笑)。自分の面白さがコントロールできないから、今もタレントとしてやっていける手応えはないし、常に不安です。

そういう意味では『池の水ぜんぶ抜く大作戦』みたいに自然体でやれる番組は好きです。あれは私の育てられ方がすごく番組にフィットした気がします。子どもの頃、家族で海に行くと、私たちきょうだい3人は『今日の食料を獲ってきな』って父から銛を渡されるんですよ(笑)。きょうだいでタコを本気で取り合うのをレクリエーションとしてやっていたので、魚をつかまえるのは楽しいし、ヘドロの中でも平気です。よくガッツあるねって言われるんですけど、何がガッツなのか分からない(笑)。私にとってあれは日常なんです」

■選抜に入れない子の希望に

(写真:笹森健一)

今なら1人のタレントとしても十分通用すると思えるが、AKB48からの卒業は全く考えていないという。アイドルという職業柄、26歳という年齢に対してのファンの目は厳しく、なぜ後輩に席を譲ろうとしないのかと批判を浴びることもある。それでもアイドルであり続けたい理由があるのだ。

「もし、私がアイドルになることを夢見ていた人間なら、とっくに卒業しているでしょうね。でも私にはアイドルはこうでなきゃという固定観念もないし、『AKB48は次へのステップだ』と教えられてきた世代なので、1人でできると思えるようになるまでは卒業する気になれないんです。そこが、AKB48に憧れて入ってきた下の世代とは違うところかもしれません。

今までAKB48から受けてきた恩を返したいという気持ちもあります。ずっと第一線で頑張ってきたメンバーが卒業して、AKB48がメディアに出る機会が減っちゃったじゃないですか。自分がAKB48の名前をつけてテレビに出ることで少しでもグループを知ってもらえるきっかけになればいいし、総選挙の順位をいじられれば、総選挙というイベントを意識してもらえる。そういう部分では少しはAKB48の役に立てると思うんですよね。

私のように選抜に入れない後輩の中には、『大家さんみたいになりたいんです』って言ってくれる子もいて…。そういう子たちが私の姿を見て、人気がなくても推されてなくても、自分の頑張り方次第ではどうにかなるんだって希望を持ってくれたらうれしいですね。

やっぱりアイドルってスゴいんですよ。ファンの方と直接コミュニケーションをとって、喜びや悲しみを分かち合い、時には人生相談みたいなことまでする。もちろん、タレントや役者さんにもファンはいるけど、こんなふうに絆を深め合うのは難しいと思うんです。ファンの方との絆こそ、私がアイドルであり続ける理由。キラキラ輝いて楽しませることはできないけど、大家が頑張ってるから自分も頑張ろうって思ってもらえるような親しみやすい、みんなの大親友みたいな存在でいたいんです」

(ライター 蒔田陽平)

[日経エンタテインメント! 2018年11月号の記事を再構成]

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