日経エンタテインメント!

福田靖の脚本については「新刊のマンガみたいなワクワク感」と評し、届くのが楽しみだという。

「具体的に『ここ』と言えないくらい、どの話も面白いですし、登場人物が全員愛おしいです。先日、リハーサルで萬平さん(長谷川博己)と一緒にいたら、腹を抱えて大笑いし始めたんですよ。どうしたんだろうと思ったら、台本を読んでました(笑)。まだ読んでいなかった私に、「早く読みなよ」って。その姿を見て、子どもの頃、マンガを読んで喜んでいた同級生の男子を思い出して、なんて幸せな作品なんだろうって思いました」

義母の一言で出演を決意

朝ドラヒロインの話が来たときは、出産間もない頃であり、オファーを受ける可能性はゼロと考えていたそうだ。安藤は父が奥田瑛二、母が安藤和津、義父が柄本明、義母が角替和枝という芸能一家。夫の柄本佑は、『まんぷく』と同じNHK大阪放送局(通称BK)制作の『あさが来た』(2015年)にメインキャストで出演している。断らなければいけないと落ち込む安藤の背中を押したのは、家族だった。

(写真:藤本和史)

「特に乳飲み子のときは私は子育てに専念すべき、子どもがいなかったとしても、妻として家庭を守るべきだと思っていたので、お話をいただいた時はうれしさでしびれる一方で、とても悔しかった。どうしたらオファーを断った後に、この話をポジティブな方向に持っていけるだろうって。

その発想を変えてくれたのが、家族からの言葉でした。夫は『なんで? やればいいじゃん』と、拍子抜けするほど軽く言ってくれて。『BKだったら大丈夫だよ、あのロビーでさ…』とか、家族全員が具体的にアドバイスをくれたのがありがたかったです。1番強く響いたのは、出産後も女優を続けている義理の母が、『サーちゃん、これをやらないんだったら、事務所も仕事も辞めちゃいな』って話してくれたことです。そこで覚悟を決めました。

もちろん、NHKの器の大きなスタッフの方々の説得も心にしみました。実際に制作のために動き出してからは、朝ドラのスタッフの方だけでなく、お掃除のおばちゃまや受付のお姉さんまで、みなさんが娘の面倒のサポートをしてくださっています」

朝ドラの他にも、リリー・フランキーとW主演した映画『万引き家族』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した。18年は安藤にとって、重要な意味を持つ年となりそうだが。

「私は、それは女優としてのキャリアとはあまり捉えていないんです。もちろん、ものすごい経験をさせていただいていると認識していますが、1人の人間として、人生を歩むなかでの大きな1つの出来事だと思っていて。『出産した』とかと同じような感じです。それを仕事に結びつけるとすれば、次の作品に関わるときに、自分がどんなことを思うのか。変化し続けたいし、常に想像できない自分でありたいなと思っています」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2018年11月号の記事を再構成]

安藤サクラさんの義母、角替和枝さんは10月27日、原発不明がんのため、お亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。

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