こんにちは、赤ちゃん 絶滅危惧のキノボリカンガルー
オーストラリアのビクトリア州にあるヒールズビル自然動物園が、絶滅の危機に瀕するキノボリカンガルーを増やすため、その一種であるセスジキノボリカンガルーのマニという雌とバガムという雄を引き合わせた。2016年初めのことだ。
そして2年後の2018年初頭、マニのお腹の袋の定期検診で、豆粒ほどの大きさの赤ちゃんがいることがわかった。それから6カ月間、赤ちゃんはお母さんの袋の中ですくすくと育ち、9月上旬には、そこから顔をのぞかせるようになった。
ヒールズビル自然動物園でセスジキノボリカンガルーの出産が成功したのは、今回が初めて。子が産まれたことは非常に喜ばしい出来事だ。
キノボリカンガルーの仲間は、パプアニューギニア、インドネシア、オーストラリアに生息しているが、なかでもセスジキノボリカンガルーは個体数が減っており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧種(Endangered)に指定されている。
ヒールズビル自然動物園のほかに2つの動物園を管理している動物保護団体「ズーズ・ビクトリア」は、世界中の同様の団体と協力して、野生動物の絶滅を回避する活動や、繁殖プログラムを通して飼育環境下の種を守る活動を行っている。
キノボリカンガルーについても、動物園での繁殖とは別に、この動物の生息地を守るコーヒー農家たちが収益を得られるようにするプログラムを実施している。
セスジキノボリカンガルーは、地上を跳ねるワラビーやカンガルーよりも後ろ脚が短く、前脚が太い。この特徴のおかげで、樹上ではすばやく動けるが、地上に降りるとそれほどでもない。
ズーズ・ビクトリアで自然保護パートナーを管理するクリス・バンクス氏によると、野生のセスジキノボリカンガルーの最大の脅威はハンターによる狩猟だという。
[ナショナル ジオグラフィック 2018年9月20日付記事を再構成]
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