便秘薬も効能様々 のみ続けると効き目が弱まるものも便秘をこじらせる前に(下)

2018/10/29
(イラスト:谷小夏)
(イラスト:谷小夏)
日経ヘルス

大便の排出回数が少ない、出すのもつらくスッキリしない……。女性ホルモンやダイエットの影響で女性に多い「便秘」。3回目は治療を取り上げる。市販薬の特徴を理解し、改善しなければ医療機関を受診しよう。便秘の背後に病気が隠れていることもあるので、注意が必要だ。

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市販の便秘薬をのんでいる人は多い。それで改善すれば問題ないが、中には服用量が増えたり、薬がないと排便できなくなったり……。「センナなどの刺激性下剤は常用すると効き目が弱まり、使用量が増えてくる」と横浜市立大学大学院肝胆膵消化器病学教室の中島淳主任教授は注意を促す。

便秘薬のタイプは大きく2つ。水分量を増やし便を軟らかくする薬と、腸を刺激して動きを活発にする薬だ。このうち日常的に使ってよいのは、酸化マグネシウムなど便を軟らかくする薬。「刺激性下剤は、それでも出ないときに一時的に服用するのが正しい使い方」と中島主任教授。

市販薬を試しても便秘が改善しないなら、消化器内科や便秘外来のある医療機関で診てもらおう。「最近は新薬が続々登場し、個人に合わせた治療が可能になった」と鳥居内科クリニックの鳥居明院長。

例えば2018年4月に発売された「エロビキシバット水和物(商品名グーフィス)」は、便を軟らかくする働きと腸を刺激する作用を併せ持つ。また17年にはIBS便秘型の薬として「リナクロチド(商品名リンゼス)」が発売された。「腸の動きをよくすると同時に、内臓の知覚過敏による腹痛も和らげてくれる」(鳥居院長)。

漢方薬も頼りになる。大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)や潤腸湯(じゅんちょうとう)、大建中湯(だいけんちゅうとう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)などがあり、体力や症状の違いに応じて選択できる。

なお、重症の便秘では、あまりのつらさに指で便をかき出す人が意外に多いという。「腸に傷がついたり、神経反射で不整脈を起こしたりすることもあるので非常に危険」と鳥居院長。一人で悩まず、治療を受けよう。

ただの便秘と油断しないで!

便秘が続き、さらに次の項目にも当てはまる人は、便秘の背後に他の病気が隠れていることも。例えば大腸がんの場合、腸管が狭くなって便秘になることがある。急に便秘が続くようになった、血便が出る、急激に体重が減ったという人は大腸内視鏡検査を! 家族に大腸がんになった人がいる場合も一度検査を受けた方がいい。

・今まで快便だったのに急に便秘がちになった
・血便が出た
・体重が急激に減った
・家族に大腸がんにかかった人がいる
中島淳さん
横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室主任教授・診療科部長。1989年大阪大学医学部卒業。東京大学第3内科助手、米ハーバード大学客員研究員、横浜市立大学附属病院消化器内科教授などを経て、2014年から現職。専門は難治性便秘など。
鳥居明さん
鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)院長。1980年東京慈恵会医科大学卒業。同大学院博士課程修了。同大助教授などを経て、2006年から現職。専門は消化器科、過敏性腸症候群など。東京都医師会理事なども務める。

(ライター:佐田節子)

[日経ヘルス2018年10月号の記事を再構成]