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西郷どんも食べた? 奄美大島の「鶏飯」と「鶏飯丼」

「ひさ倉」のスープは透き通ってうま味が強い

ひさ倉の鶏飯の特徴はまずスープ。みなとやと比べると油は少ない。しかし、うま味は非常に強い。淡い色で透き通っていて、関西のだし汁を思い出させる。みなとやのスープのうま味は口の中全体に迫ってくる感じなのに対して、ひさ倉のそれは舌の味蕾(みらい)一つひとつを確実に刺激してくるようなきめ細かさがある。

島の中心地である名瀬の歓楽街・屋仁川や、ホテルの朝食でよく提供されるのが鶏飯丼だ。鶏飯はスープ、ご飯、具材が別々の鍋、おひつ・茶わん、皿に乗って提供されて「ごちそう」の趣がある。一方の鶏飯丼は最初から、ご飯と具の上にスープがかかった「鶏茶漬け」の見た目だ。高級感はないが、すぐに食べることができる。つまり酒を飲んだ後のシメにふさわしいと言える。

この鶏飯丼を最初に提供したのは、1980年に開業した居酒屋・焼肉店の「むさしや」だ。赤木名の、みなとやの道路を挟んだ向かいにある。この鶏飯丼の誕生により、鶏飯は「特別なごちそう」というイメージから、カレーライスやカツ丼と同列の気軽な食べ物というイメージも併せて持つようになり、様々な飲食店のメニューで採用されやすくなった。

須山教授によると、鶏飯または鶏飯丼を提供する店は100前後あるという。最近加わった店では、鶏飯丼の方が多い。さらに、フリーズドライの鶏飯のもとといった手軽な形式も増えており、観光客や奄美大島出身でほかの地域に住む人たち向けのお土産としてよく買われているようだ。

観光で訪れる際には、「鶏飯」を頼むとごちそうの感じを味わえて、特別な体験だと実感できるだろう。「鶏飯丼」を頼むなら、やはり酒を飲んだ後のシメに。この使い分けは奄美観光のコツの一つかもしれない。

(熊谷勇一)

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