日経DUAL

すっかりおなかいっぱい――なのだが、これで終わらないのが食いしん坊だらけのわが家。妻がニンマリと笑いながら何やら取り出してきた。見ると、マシュマロである。これまたバーベキュー・デザートの定番といえるだろう。

竹串にマシュマロを刺し、炭火の近くにそっと置く。すぐに周囲がほんのりと焦げ始めた。そのままパクッと口に入れると、トロッと熱いマシュマロの甘さが舌にまとわりつく。妻はさらにリッツを取り出し、「これに挟んでもおいしいわよ?」とささやく。なるほど、リッツの塩味とカリッとした食感が、トロトロのマシュマロの甘みと絶妙なコントラストを生み出している。

「マシュマロのサンドイッチ、もう一つ!」

もはやおなかが明らかに前に張り出した娘すら、お代わりを要求する始末だ。

ちなみに、今回はバーベキューの定番である焼きそばは作らなかった。備え付けのグリルには網だけでなく鉄板もあるのだが、使った後は洗って返却しなければならない。「網も鉄板も両方洗うの、面倒くさいじゃん」という妻の一声で、焼きそばはパスになったのだ。その代わり、主食としてフランスパンをアヒージョやチーズフォンデュで食べたり、これまた仕込んでおいたおにぎりを焼きおにぎりにしたり。

結果的にこの選択も当たりだった。バーベキューグリルが大きいうえに、食後に早くも遊びたがる娘を相手しながら網を洗うのは大変だからだ。鉄板を洗わなくていいのは本当にラクである。

さらに今回は食器類もすべて紙皿を使った。エコではないけれど、まだ皿洗いすらできない幼児連れのバーベキューゆえ、手を抜けるところは抜こうと思ったのだ。そのおかげで洗い物はトングや菜箸といった最低限のものだけで済んだ。

「いやあ、まんぷく、まんぷく……」

ごちそうさまをして、川のせせらぎに包まれながらおなかをさすっていると、娘に遊びに行こうと促された。重い腰というか、重いおなかを抱えながら、バーベキュー場から歩いてすぐの遊具エリアへ向かう。食事前にはおっかなびっくり挑戦していたフワフワジャンプで大はしゃぎしている娘を見て、「おいしい食べ物の力は偉大だなあ」としみじみ感じ入ったのだった。

【今回のお出かけ先】秦野戸川公園
小田急小田原線・渋沢駅から路線バスに乗り換え、終点・大倉で下車すぐ。車で行く場合は東名高速道路 秦野中井I.C.から約10km、約30分
吉田友和
旅行作家。1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行ながら夫婦で世界一周を敢行。2005年より旅行作家として本格的に活動を開始。国内外を旅しながら執筆活動を行い、短期旅行を中心に、ここ数年は“半日旅”にも力を入れている。著書は『3日もあれば海外旅行』『10日もあれば世界一周』(共に光文社新書)、『思い立ったが絶景』(朝日新書)や自身をモデルとしてドラマ化もされた『ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン』(幻冬社文庫)など多数。近著は『東京発 半日旅』(ワニブックス)。

[日経DUAL 2018年5月28日付の記事を再構成]